忍者のワナ打ち破った桂打ち 伊藤匠六段が決勝トーナメント進出 第36期竜王戦5組ランキング戦|将棋情報局

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忍者のワナ打ち破った桂打ち 伊藤匠六段が決勝トーナメント進出 第36期竜王戦5組ランキング戦

第36期竜王戦5組ランキング戦(主催:読売新聞社)は、決勝の服部慎一郎六段―伊藤匠六段戦が5月16日(火)に関西将棋会館で行われました。対局の結果、93手で勝利した伊藤六段が5組優勝と決勝トーナメント進出を決めました。

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■相掛かりの速攻勝負

両者の初手合いとなる本局は、先手の伊藤六段が相掛かりの戦型を選択して幕を開けました。後手からの飛車先の歩交換もそのままに右桂の活用を急いだのが伊藤六段の作戦。立て続けに跳ねた左桂との連動で、大駒を中心とした素早い仕掛けを用意する狙いです。後手の服部六段も飛車を自陣三段目に引く工夫を見せ、盤上は徐々に戦いの機運が高まります。

飛車を五段目の高い位置に陣取った伊藤六段は、9筋の歩を突き捨てて端攻めから戦端を開きました。服部六段が右銀を使って丁寧に受けたのにも構わず、伊藤六段は飛車・角・桂・香4枚の飛び道具を勢いよく飛び出してついに後手陣を突破することに成功。この直後、角との交換で手にした飛車をすぐに敵陣に打ち込んだ伊藤六段がペースをつかみました。

■伊藤六段が服部六段の粘り振り切る

形勢容易ならずと見た後手の服部六段はここで勝負手を放ちます。2筋に構える先手の飛車めがけて歩を突き出したのがそれで、これを取れば王手飛車取りをかける目論見です。しかし、持ち時間を2時間残す伊藤六段の対応は冷静でした。「終盤は駒の損得より速度」の格言通り、飛車取りを無視した桂打ちで後手玉への寄せを急いだのが決め手となりました。

伊藤六段の打った桂は後手からの王手桂取りの角打ちですぐに抜かれてしまいますが、今度はこの角を目標にと金をじわっと寄ったのが継続の好手。玉と角をまとめて狙われてしまった服部六段としてはうまい粘りの手段がありません。終局時刻は20時13分、丁寧な寄せで後手玉を仕留めた伊藤六段が快勝で5組優勝と決勝トーナメント進出を決めました。


伊藤六段は昨年の本棋戦決勝トーナメントで3回戦進出の実績を残している(写真は第52期新人王戦三番勝負第2局のもの 提供:日本将棋連盟)

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