藤井将棋の底知れぬ深さ 藤井竜王が開幕戦制し七冠に向け前進 第81期名人戦七番勝負第1局|将棋情報局

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藤井将棋の底知れぬ深さ 藤井竜王が開幕戦制し七冠に向け前進 第81期名人戦七番勝負第1局

渡辺明名人に藤井聡太竜王が挑戦する第81期名人戦七番勝負(主催:毎日新聞社・朝日新聞社)は、第1局が4月5日(水)・6日(木)に東京都文京区の「ホテル椿山荘東京」で行われました。対局の結果、110手で勝利した藤井竜王が自身初となる名人獲得に向けて好スタートを切りました。

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渡辺名人の封じ手が立会人の中村修九段によって開封され2日目の戦いが始まります。先手の渡辺名人がじっと玉を寄って間合いを図ったのに対して後手の藤井竜王は左辺の端攻めから本格的な攻めを開始。これを受けた渡辺名人も右辺の攻め合いで応じ、盤上は一気に激しさを増しました。渡辺名人は角を、藤井竜王は飛車をさばいている点が主張です。
 
藤井竜王が8筋に桂取りの歩を放った局面は、渡辺名人にとってひとつの分岐点でした。控室では、桂を取らせてその代償として自玉の安定を得る指し方も有力とされたところ。桂損の実害を重く評価した渡辺名人はこれに代えてしばらく後手の攻めの面倒を見る方針を選びますが、ここを境に藤井竜王の攻勢は一層強まることになります。
 
■破られなかった居玉
 
先手陣に竜を作ることに成功した藤井竜王は、再度8筋に桂取りの歩を打って攻めの継続を図ります。後手好調に見える局面ながら、中継放送に備えられた将棋ソフトが示す評価値は互角。推奨される一手は後手の桂の利きに守りの要の銀を差し出す意表の受けですが、感想戦では人間的には違和感のある手ということで両対局者の意見の一致を見ました。
 
受けていても切りがないと見た渡辺名人は、ここで1時間弱残っていた持ち時間の大半を投じて攻め合いに舵を切ります。封じ手のあたりから「若干苦しいかなと思っていた」という渡辺名人としては最後の勝負を挑んだ形ですが、ここからの藤井竜王の指し手は正確そのものでした。ここまでくると、藤井竜王の居玉も戦場から遠ざかる構想として光ります。
 
終局時刻は20時39分、藤井竜王の縛りの一手△2七角を見た渡辺名人が、自玉の受けなしを認めて投了。開幕局は挑戦者である藤井竜王の勝利となりました。勝った藤井竜王は局後、「終盤は自玉が意外と王手のかかりづらい形となったのを生かせた」と振り返りました。注目の第2局は4月27日(木)・28日(金)に静岡県静岡市の「浮月楼」で行われます。


第2局を先手番で迎える藤井竜王の作戦にも注目が集まる(提供:日本将棋連盟)



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