5度目の挑戦、念願の一勝 松尾八段が快勝で1回戦突破 第94期ヒューリック杯棋聖戦|将棋情報局

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5度目の挑戦、念願の一勝 松尾八段が快勝で1回戦突破 第94期ヒューリック杯棋聖戦

第94期ヒューリック杯棋聖戦(主催:産経新聞社、日本将棋連盟)は、決勝トーナメント1回戦の松尾歩八段―牧野光則六段戦が3月1日(水)に東京・将棋会館にて行われました。対局の結果、132手で勝利した松尾八段が2回戦進出を決めました。

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■相掛かりの空中戦
 
振り駒が行われた本局、先手となった牧野六段は横歩取り調の序盤戦に誘導します。飛車先の歩を交換したときに横歩を取らなかったのが牧野六段の趣向で、これにより本局は相掛かりの空中戦に進展しました。松尾八段が中住まいの陣形に玉を囲ったのを見て先手の牧野六段も同様の囲いに組んで間合いのはかり合いが続きます。
 
盤上は先後ともに似た陣形からなる膠着状態が続いていますが、後手の松尾八段の飛車が五段目の高い位置に構えているのは注目すべき点。駒組みが頂点に達したところで松尾八段は飛車取りの自陣角を打って局面を動かしにかかりました。続いて7筋の歩をぶつけて仕掛けられるのが高飛車を保った松尾八段の主張点です。
 
■松尾八段の独擅場
 
7筋で戦いが起こってからは「松尾八段の攻め対牧野六段の受け」という構図で中盤戦が進行します。先に打った角を生かして一歩得を果たした後手の松尾八段は、この角を颯爽と盤面左方に転換。手順に先手の玉頭にプレッシャーをかけつつ遊び駒の活用を図りました。このあたり、「攻めは飛車角銀桂」の格言通りに攻め駒を好位置に配備した松尾八段が形勢をリードして局面は終盤戦に突入していきます。
 
非勢を認める先手の牧野六段は粘りの自陣角を打って戦いの長期化を図りますが、どうしても受け一方の印象は否めません。反対に、中央での戦いは一段落したと見て9筋の端攻めに目を向けたのが松尾八段の見せた好着想。このあと松尾八段は盤面左方から攻めの飛車角銀桂をきれいにさばいて優位を拡大しました。
 
持ち前の粘りで逆転の機会をうかがう牧野六段に対し、松尾八段は最後まで緩急自在の指し回しでじわじわと先手玉を追い詰めていきます。終局時刻は19時40分、自陣に竜を作られ攻防ともに見込みなしと認めた牧野六段が投了を告げて松尾八段の勝利が決まりました。勝った松尾八段は、自身5度目の参戦となる棋聖戦決勝トーナメントで初めて1回戦突破を果たしました。2回戦では佐々木勇気七段と対戦します。


松尾八段は公式戦の連敗を2で止めた(未放映のテレビ対局を除く)

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