【試し読み版】編集部島田が綴る今月の藤井聡太 2023年2月編|将棋情報局

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【試し読み版】編集部島田が綴る今月の藤井聡太 2023年2月編

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皆さんこんにちは。「もし君が鳥なら、僕も鳥だ」でおなじみの編集部島田です。

将棋情報局ゴールドメンバー限定記事「編集部島田が綴る 今月の藤井聡太」第6弾でございます。なんだかんだ半年続きました(笑)。自分で自分をほめたいです。ごく一部の楽しみにしていただいている方のためにも、今後もできる限り続けていく所存です。よろしくお願いいたします。

ということで、2月です。レジェンド・羽生善治九段との王将戦と、10連覇中の渡辺明棋王との六冠を目指す棋王戦という超ビッグマッチが並行して行われるという、すごい月になっています。
歴史に残る番勝負がまさに目の前で行われているわけですが、さらにA級順位戦や朝日杯もあるということで観ているほうも大変。聡太先生ファンの皆さんも目が回るような日々を過ごされていたかと思います。

お母さん島田としては藤井先生の活躍がたくさん見れてうれしいんですが、会社員島田としては『藤井聡太全局集 令和4年度版』のインタビューが例年に比べて遅れており、危機感しかないです(苦笑)。

もし名人挑戦となると、いよいよヤバいという感じですが、ダブルタイトル戦が終わったころにわずかな間隙を縫って『藤井聡太全局集』と『将棋年鑑』のインタビューをねじ込んでいきたいと考えております。以上、業務連絡でした。

さて、いつも通り前置きが長くなりすぎたところで「今月の藤井聡太」行ってみましょー!

まずは、2月の藤井先生の対局をまとめてみます。

2月の対局まとめ

1日 A級順位戦 永瀬拓矢王座戦 負け
5日 棋王戦五番勝負第1局 渡辺明棋王戦 勝ち
9、10日 王将戦七番勝負第4局 羽生善治九段戦 負け
18日 棋王戦五番勝負第2局 渡辺明棋王戦 勝ち
23日 朝日杯準決勝 豊島将之九段戦 勝ち
23日 朝日杯決勝 渡辺明名人戦 勝ち
25、26日 王将戦七番勝負第5局 羽生善治九段戦 勝ち
2月は7局の対局があり5勝2敗という成績でした。タイトル戦続きの中ですごい成績ではあるんですが、いつも藤井先生を見ている我々からすると2回の負けが多く感じるから不思議です。

それでは2月1日の対局から見ていきましょう!・・・と言いたいところですが、先月の記事で1月28、29日に行われた王将戦第3局に触れられなかったので、そこから始めます。

勝で一歩リード

1月28、29日 羽生善治九段戦
第72期ALSOK杯王将戦七番勝負(毎日新聞社、スポーツニッポン新聞社、日本将棋連盟主催)第3局

第1章 雁木
第2局で羽生善治九段が素晴らしい内容で勝利したことで勝負の行方が見えなくなった王将戦七番勝負。第3局は藤井先生の先手番です。後手の羽生先生は雁木の構えを取りました。
まっすーこと増田康宏七段が連採して高勝率を上げて、一時期プロ間で爆発的に流行した戦法です。
しかし、現在は有力な対策がいくつか発見されたことで、やや下火になっています。本局で藤井先生が採用した早繰り銀もその有力な対策のうちの一つ。
これは雁木に対して速攻を仕掛けてリードを奪いに行く積極的な指し方ですが、自分の玉をあまり囲わないで攻めるのでリスクもあります。藤井先生はいくつか有力な指し方があったときに、いつも一番積極的な順を選ばれているように感じます。「行けるなら行く」という真っすぐな姿勢がカッコいいです。

第2章 新手筋
雁木VS早繰り銀はプロ間でもよく指されている形。羽生先生が雁木を選んだからには用意の作戦がありそうでしたが、先に新構想を披露したのは藤井先生の方でした。
相手の銀を上部におびき出してからフワッと飛車を浮いたのが新しい指し方で、見ていて度肝を抜かれました。わざわざ飛車を危険地帯にさらすようでとても指しにくい手なのですが、いい手順だったようです。それにしても藤井先生、忙しい中でいつ研究しているんでしょうか・・・。すごいです。
羽生先生は感想で「そういう筋があるんですか」と楽しそうに語っていました。さすが、王者の余裕を感じます。

第3章 こっちの人
藤井先生がわずかにリードを奪い、さらに馬を作って問題の場面。ここで羽生先生が玉を4三に上がるか3三に上がるかの2択だったのですが、実戦は3三に上がりました。守りの駒に近づいて自然に見える手なのですが、最善は4三のほう。感想戦で高見先生に指摘された羽生先生が「こっちの人なんですか」とおっしゃっていたのが印象的です。AIの感覚と自分の感覚の違いを確かめながら、しかもそれを楽しんでいる羽生先生。藤井先生も思わず笑顔になって和やかな感想戦でした。

藤井先生は「どういう構想で指すのかが、非常に難しくて。わからないところの多い将棋だったかなというふうに感じています」といつもながらの謙虚なコメントでしたが、新手順でリードを奪い、そこから緩みなく寄せ切ったので完勝と言っていい内容だったと思います。

第2局に敗れてどうなるかと思って見ていましたが、やはり藤井先生は強い。そう思わせる第3局でした。

A級ラス前で土



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