『現代将棋ってこういうこと』棋書アンバサダーによるレビュー 宮田聖子様|将棋情報局

将棋情報局

『現代将棋ってこういうこと』棋書アンバサダーによるレビュー 宮田聖子様

『現代将棋ってこういうこと』棋書アンバサダーによるレビュー記事、第2弾です!

お得で気軽に参加できる将棋大会『第6回 将棋情報局最強戦オンライン』11月13日開催! エントリー受付中 『現代将棋ってこういうこと』棋書アンバサダー企画
レビュー第2弾は、将棋ライターとしてご活躍されている宮田聖子様に書いていただきました。
ありがとうございます!!

=========================

ペンネーム 宮田聖子
将棋は弱いけれど、県代表決定大会を中心に将棋大会の運営を15年。女性大会を中心に大会出場50回。プロ・アマ棋界のしくみや運営のノウハウは分かるようになっても、棋力は5級かもっと下くらいのまま。将棋歴1年未満の人にもよく負ける。
Twitter @miyatasatoko1



 日本刀を構えた佐々木大地七段と増田康宏七段のイラストが表紙を飾るこの本。2人の対話形式でスパンと切るように小気味よい言葉で現代将棋を解説していく。2008年の夏の奨励会試験に佐々木七段が中1、増田七段が小5の時に合格。関東奨励会ではその夏、13人が合格し棋士になったのは佐々木、増田の2人だけだ。そんな長い付き合いの2人らしく、タメ口で遠慮ないおしゃべり調の文章が楽しい。まるで、将棋盤をつつきながらワイワイ検討している2人の話を、のぞきこむように聞いている気分になる。うまく指せた話はもちろん「これで自爆した」とか失敗談も出てくる。



 難解な現代将棋の本だから、もちろん分からないところは多い。このレビューを書いている私は級位者で、この本に書いてある符号を見て頭の中の将棋盤を動かすことはできない。そもそも将棋盤は浮かばない。でも、この本は「級位者にも読んでもらえるように」「観る将にも楽しんでもらえるように」という工夫していることは分かった。
 見開き2ページごとに読める構成になっていて符号は10~30手分ほど。これくらいなら並べてみようかなと思える。テーマ図からの解説であり、初手から説明しているわけではない。級位者がプロの現代将棋を指しこなすのは最初から無理で、観戦に役に立てば良いと考えれば、初手から解説してくれなくても構わない。
 そのテーマ図の選び方がさすがで、試しに将棋連盟Liveの棋譜中継と見比べると、同じ盤面がいくつも出てくる。居飛車はもちろん振飛車も網羅しているから、観戦中に「これと同じ盤面はないか」と探してみるのも良さそうだ。
 観る将の方には推し棋士の棋譜を並べている人が少なくない。ABEMAの中継を一手一手覚えるように観る人もいる。そんな方は気になった将棋と同じ盤面をこの本で探し、そこからのプロの考え方を知ることで、より理解できるようになるのではないだろうか。見開き2ページごとに分かりやすい見出しが入り、探しやすい構成になっている。順番通り読まなくて構わない。

 この本のキーワードは「方針」。まえがきには「現代将棋は変化が多く難しいですが、本書で解説した各戦法ごとの方針を参考に指すといいと思います」(佐々木七段)。「現代将棋の各戦法について、それなりの方針を示した本になったと思っています」(増田七段)。
「方針とはなんぞや?」と思っていたのだけど、読んでなんとなく分かってきた。何手も先に桂馬を活用するとか、相手より囲いを堅くするとか、有利になるような方向を決め、それに向かって指すということらしい。私が50回大会に出ても、さっぱり強くならないのはこの「方針」を考えて無いからではと思い至った。
 プロの現代将棋の本だから、私が女性大会の級位者クラスでよく指すような「相中飛車」はもちろん紹介されてない。だけど、今後は方針なるものを少しは考えて指してみようと思っただけでも、読む価値はあった。
  お得で気軽に参加できる将棋大会『第6回 将棋情報局最強戦オンライン』11月13日開催! エントリー受付中
将棋情報局では、お得なキャンペーンや新着コンテンツの情報をお届けしています。

著者