鉄板流の面目躍如! 森内九段が丸山九段の右四間飛車を跳ね返す 第73期ALSOK杯王将戦一次予選|将棋情報局

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鉄板流の面目躍如! 森内九段が丸山九段の右四間飛車を跳ね返す 第73期ALSOK杯王将戦一次予選

第73期ALSOK杯王将戦(毎日新聞社、スポーツニッポン新聞社、日本将棋連盟主催)は、一次予選の森内俊之九段―丸山忠久九段戦が2月2日(木)に東京・将棋会館で行われました。対局の結果、104手で勝利した森内九段が次回戦進出を決めました。

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■丸山九段が右四間飛車で先攻

振り駒が行われた本局、後手となった森内九段は角道を止めて雁木の構えを取ります。これは丸山九段が得意とする角換わりを避けて穏やかな展開を目指したものでしたが、丸山九段が右四間飛車の速攻を見せたことで本局は急戦の将棋に誘導されました。第一次駒組みが頂点に達したところで丸山九段が4筋の歩をぶつけて早くも戦端が開かれました。

右四間飛車の仕掛けを受けた森内九段は、交換した角を2筋に打って攻防の要とします。攻め足を止めることができない丸山九段がこれに攻め合いで応じた結果、4筋で銀桂交換が行われて戦いが一段落しました。森内九段としてはやや駒損ながら、この手順の中で敵陣に作った馬が先手の飛車をいじめる展開となっては不満ない分かれとなりました。

■森内九段の反撃と守りの自陣馬

手番を握った後手の森内九段は8筋に歩頭の桂の手筋を放って反撃ののろしを上げます。立て続けに7筋の歩を突いて桂頭の弱点を突いたのが継続の好手。適当な受けがない丸山九段が攻め合いに持ち込んでくることを見越したうえで、そこで手にした攻め駒を元手にさらなる反撃をもくろんでいます。中盤戦は森内九段が緩急自在の指し回しで着実にリードを広げ、戦いは終盤戦に突入していきます。

盤面全体を使った競り合いが続いたのち、先手の丸山九段は2筋に桂を打って金取りをかけました。自玉が瞬間的に堅陣に守られているのを見越して反撃に転じた形ですが、この手に対して森内九段は先手陣に打った角をじっと自陣に引き成ってこの金取りを受ける好手を用意していました。こうなってみると先手は攻め駒不足の感が否めず、森内九段の鉄板流の受けが光る展開といえます。

■華麗な竜捨てで森内九段が勝利

丸山九段の攻めを余すことに成功した森内九段は、もくろみ通りに手にした豊富な持ち駒を背景に最後の反撃に打って出ます。馬を切って先手玉を危険地帯におびき寄せてから、タダのところに飛車を成ったのが寄せの決め手。これを取ると桂打ちの好手があり、丸山九段の玉はどう逃げても即詰みの順を免れません。終局時刻は17時3分、この竜捨てを見た丸山九段が投了を告げて森内九段の勝ちが決まりました。

勝った森内九段は次局で中川大輔八段―藤森哲也五段戦の勝者と対戦します。


森内九段は第53期(2003年)に王将位を獲得している

水留啓(将棋情報局)

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