【試し読み版】編集部島田が綴る今月の藤井聡太 2023年1月編|将棋情報局

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【試し読み版】編集部島田が綴る今月の藤井聡太 2023年1月編

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皆さんこんにちは。「多くの言葉で少しを語るのではなく、少しの言葉で多くを語りなさい」でおなじみの編集部島田です。

将棋情報局ゴールドメンバー限定記事「編集部島田が綴る 今月の藤井聡太」第5弾でございます。私が年末に体調を崩したせいで1月2回目の記事配信となりました。いかんせん記事の内容がカロリー高めなので、ひと月に2回はちょっと、、、という声も聞こえてきそうですが、胃腸の具合を整えて読んでいただければ幸いです。

さて、1月です。年始は藤井先生も刹那のお休みがとれたようで、お正月に家族で大富豪をされたそうです。以前『藤井聡太インタビューのニュアンスの補足』という記事にも書いたことがあるんですが、藤井先生の性格からして大富豪も本気で勝ちに行くように思います。生き生きした藤井先生の表情が目に浮かぶよう・・・。ずっと大貧民で構いませんので私もまざりたいです。

 

「おりゃ! どうですか藤井先生、革命ですよ」
「・・・そう来ると思ってました。革命返しです」
「そんなカード持ってたんですか、強すぎますよ~」
「いや、たまたまです(にっこり)」

という妄想だけは欠かさずにしておきました。(憲法第22条、妄想の自由)


藤井先生は1月3日には上州将棋まつりに参加されてました。

高見先生からの「好きなおせち料理は?」の質問に「えっと、かまぼこです」と答えられてましたね。庶民的な感じがハナマルです。紅白のかまぼこは初日の出を表していて、おめでたいんやで、とお母さん島田は言っています(届かぬ思い)。

さて、前置きが長くなりすぎました。気持ちを切り替えて「今月の藤井聡太」、行ってみましょー!

まず、1月の藤井先生の対局をまとめてみます。

1月の対局まとめ

8、9日 王将戦七番勝負第1局 羽生善治九段戦 勝ち
15日 朝日杯本戦 阿久津主税八段戦 勝ち
15日 朝日杯本戦 増田康宏六段戦 勝ち
18日 A級順位戦 豊島将之九段戦 勝ち
21、22日 王将戦七番勝負第2局 羽生善治九段戦 負け
28、29日 王将戦七番勝負第3局 羽生善治九段戦 勝ち
1月は6局の対局があり5勝1敗という成績でした。その中でも目玉はやはり王将戦七番勝負。タイトル獲得数通算99期を誇る将棋界のレジェンド、羽生善治九段との夢のタイトル戦ですからね。これは将棋ファンでなくても注目の対決でしょう。

の対決、藤井王将が先勝!

1月8、9日 羽生善治九段戦
第72期ALSOK杯王将戦七番勝負(毎日新聞社、スポーツニッポン新聞社、日本将棋連盟主催)第1局

序章 歴史は、いまつくられている
将棋界では中原誠十六世名人と羽生先生のタイトル戦が残念ながら実現しなかったことが有名で、羽生先生と藤井先生もそうなってしまうのではないかと危惧されていました。しかし今期、羽生先生はトップ棋士がひしめく王将リーグで鬼神のような強さを見せて全勝。見事に挑戦権を獲得されて、世紀の対決が実現しました。
後世に語り継がれるであろうタイトル戦を目の前で見ることができる喜びをかみしめております。

さて、藤井先生の前日会見で島田的に印象的だったところを。
まずは羽生九段はどんな存在?という質問に対する答え。

「将棋界のスーパースター。王将戦7番勝負で戦えることが楽しみです」

これは皆さんも心の中で思ったことでしょう。「・・・いや、あなたも将棋界のスーパースターです」と。藤井先生ならではの謙遜で、クスっとなります。

続いて、この番勝負は持つ意味は?という質問に対して。

「意味づけというのは後からされるもの。今は明日、あさっての対局をいいものにしたいという思いです」

急にかっこよくてズキュンです。私も藤井先生には何回かインタビューさせていただいていますが、藤井先生は基本的に穏やかで、話の流れを止めるようなことはありません。でも、自分の中で曲げられない質問に対してはピシッと返してきます。そのたびにギャップにやられている自分がいます(笑)

この質問に対しても「意味はいま考えることじゃないでしょう?」ということでしょうね。もちろん、藤井先生はそんなキツイ言い方はしませんが、この戦いに集中したいという思いが伝わってくるコメントでした。

第1章 一手損角換わり
さて、そろそろ将棋の話をしないといけません(;^_^A
本局は後手番になった羽生先生が一手損角換わりというやや珍しい戦法を選ばれました。その名の通り一手損をして角を交換する作戦です。一手損したらいいことないやん、と思うんですが、自分の形を決めないで、あと出しじゃんけんを狙うという高度な戦法なのです。ただ、現実として一手損しているので、早く攻められると受けが間に合わない可能性があります。藤井先生もその弱点を突いて速攻を仕掛けていきました。

第2章 桂馬ぴょん吉
羽生先生も藤井先生の速攻はもちろん織り込み済み。難しい中盤戦が続きます。2~4筋の戦いの中で藤井先生は飛車を取られましたが、その代わり金と桂馬を手にしました。飛車を取られたのは痛いですが、この将棋においては桂馬が攻めに役立ついい駒で、桂馬を好位置に打って藤井先生が少しリードします。その後も盤上にあったもう一枚の桂馬を跳ねて、桂馬ぴょんぴょん作戦(そんなのない)で優位を拡大します。そしていつもながらの緩みない寄せで勝利をつかみました。うさぎ年の新年一局目の将棋だから、というわけではないと思いますが、躍動感あふれる将棋でした。
勝者罰ゲームもうさぎでしたね。

第3章 冷静と情熱の間
ドリームマッチの第1局はタイトル保持者の藤井先生が先勝となりました。

局後のコメントを見てみましょう。まずは藤井先生から。
「こちらがけっこう予想してない手を指されることも多くて。それでこちらが長考するということが多かったので。やはりなんというか、自分にはないものを持たれているのかなというのを、改めて感じました。まず本局を振り返って、また次局以降、より内容をよくしていけるようにがんばりたいと思います」

羽生先生へのリスペクトを感じるコメントで素晴らしいです。

そして羽生先生のコメント。
「やっぱりなんか一手一手、深い読みの裏付けで指されているんだな、というようなことは、対局して感じました。8時間も長いようで短いんで、やっぱり時間の使い方も課題にはなるかな、と思いました。(第2局に向けて)あ、そうですね。気持ちを切り替えて、次の対局に集中していけたらいいなと思ってます」

さすが百戦錬磨の羽生先生、1局目を落としても全く気負う様子がないです。
スーパースター同士の世紀の対決!と見ている側は大興奮していますが、当の対局者のお二人はいたって冷静で、純粋に対局を楽しんでおられるのがいいですね。
周りに流されないところはお二人に共通するものを感じます。

天上界にお住いの両者の対決、第2局以降も心して観たいと思いました。

戦1回戦突破



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