山崎八段が7期ぶりの戴冠に向け好スタート 第8期叡王戦本戦トーナメント|将棋情報局

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山崎八段が7期ぶりの戴冠に向け好スタート 第8期叡王戦本戦トーナメント

第8期叡王戦は、本戦トーナメント1回戦の山崎隆之八段―船江恒平六段戦が1月17日(火)に関西将棋会館で行われました。対局の結果、116手で勝利した山崎八段が2回戦進出を決めました。

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■角換わり腰掛け銀の力戦形

振り駒で後手となった山崎八段は序盤早々に角交換をする一手損角換わりの作戦を採用しました。飛車先の歩を四段目にとどめておいたのが作戦の趣旨で、のちに右桂の活用がしやすいメリットがあります。これに対して船江六段が腰掛け銀の構えで対応し、本局の戦型は角換わり相腰掛け銀に決まりました。

穏やかな駒組みが続いたのち、やがて先手の船江六段は4筋の位を取りました。空いたスペースに自陣角を据えたのが継続の構想で、この角で盤面全体を制圧しつつ模様を張る狙いがあります。山崎八段が後に角打ちで再度の角交換に持ち込んだのは、船江六段の自陣角に対する評価の高さをうかがわせました。形勢は互角で、ジリジリとした持久戦が展開しています。

■山崎八段の自陣角

おたがいに攻め手に欠く中、今度は山崎八段の放った自陣角が中盤の勝負手。続いて見せた8筋での継ぎ歩の手筋は山崎八段の好調な攻めを思わせましたが、船江六段もこれを放置しつつ棒銀の要領で反撃に出て譲りません。戦いが一段落した局面では、山崎八段の自陣角の働きが弱い点が大きく船江六段有利の分かれに落ち着きました。

好調な攻めを続ける船江六段はその後も銀桂交換の駒得を果たしてリードを広げますが、山崎八段の玉に対する決定的な攻めはつかめないまま局面は終盤戦を迎えます。盤面右方からの手段だけでは攻め切れないと見て自玉近くに銀を打ったのは船江六段としてもやむを得ない方針転換でしたが、こうなってみると先に打った山崎八段の自陣角にも働きが出てきました。

■決め手を与えず山崎八段が逆転勝ち

山崎八段の粘り強い受けが功を奏し、局面は山崎八段が優勢に転じて最終盤を迎えています。自陣の飛車を犠牲に角をふわりと飛び出して先手玉への攻めを狙ったのが最後の決め手となり、ここで山崎八段が勝勢を確立しました。終局時刻は16時39分、最後は攻め駒をきれいにさばいて船江六段の玉を寄せ切った山崎八段が勝利を手にしました。

本局を振り返ると、自陣角が不発に終わって攻め込まれる苦しい展開の中でも決め手を与えずに長期戦に持ち込んだ山崎八段の受けの手筋が光る一局でした。これで勝った山崎八段はベスト8に進出。準々決勝で近藤誠也七段-大橋貴洸六段戦の勝者と対戦します。



山崎八段は第1期(2015年度)以来の叡王獲得を目指す(当時は一般棋戦)

水留啓(将棋情報局)

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