2023.01.17
【試し読み版】編集部島田が綴る今月の藤井聡太 2022年12月編
お得で気軽に参加できる将棋大会『第6回 将棋情報局最強戦オンライン』11月13日開催! エントリー受付中
皆さん明けましておめでとうございます。「愛はお互いを見つめ合うことではなく、ともに同じ方向を見つめることである」でおなじみの編集部島田です。
将棋情報局ゴールドメンバー限定記事「編集部島田が綴る 今月の藤井聡太」第4弾でございます。年末に新型コロナウイルスに感染してしまい、12月の記事更新はお休みさせていただきました。楽しみにしてくださっていた2,3名の皆様、申し訳ございませんでした。前回の記事で藤井先生の健康を心配しているようなことを書きましたが、私が倒れてしまっては母親失格です(謎)。
体調の方はおかげさまで全快しました。一時は熱が40度まで上がってしまったのですが、私には藤井先生の活躍を極力長く見続けるという人生の(気持ち悪い)目標がありますので、その思いを胸に耐え忍びました。藤井先生は光であり薬です。
ということで、「今月の藤井聡太」が「先月の藤井聡太」になってしまいましたが、去年のことを思い出しながら読んでいただければ幸いです。
まず、記憶を取り戻すべく12月の藤井先生の対局をまとめてみます。
19日 棋王戦挑戦者決定二番勝負第1局 佐藤天彦九段戦 勝ち
23日 A級順位戦 佐藤天彦九段戦 勝ち
27日 棋王戦挑戦者決定二番勝負第2局 佐藤天彦九段戦 勝ち
タイトル戦、挑戦をめぐる戦い、A級順位戦と全て重要対局でしたが、5戦全勝!ということで、さすが藤井先生です。また、12月は5局中3局が佐藤天彦九段との対局でした。それぞれ違う将棋で見応えがありましたね。
さて、ここからはいつものように一局ずつ振り返っていきましょう(^^)
第35期竜王戦七番勝負(主催:読売新聞社)第6局
序章 指宿白水館
本局は鹿児島県の指宿白水館で行われました。近年の竜王戦では定番となっている対局場です。そして指宿白水館と言えば砂むし温泉。皆さんご存知の通り、対局の後に藤井聡太竜王、広瀬章人八段、藤井猛九段(立会人)、佐々木勇気七段(永世砂王)、といった方々が砂むし風呂に入っていて、平和な空気が流れてましたね。楽しそうで羨ましかったです。
一応私も、藤井竜王の隣で砂むし風呂で横になって、
「藤井先生、結構熱いですね」
「そうですね、思ったより熱いです」
と会話する妄想だけはしておきました(妄想の自由)。
第1章 角換わりを極める男
さて、藤井先生の3勝2敗で迎えた本局、先手番になった藤井先生が選んだ戦法は角換わりでした。序盤で角を交換するから角換わりです。おそらく今、藤井先生にとって一番興味のある戦法で、研究量も精度も将棋界トップクラスです。これだけ多忙を極める中でいつ研究してるの?と思うのですが、超高性能のAIと藤井先生の頭脳の相乗効果により、研究効率が最大化されてるんだと思います。私の好きな藤井先生の名言(?)の一つに「(学校は)どうして5分で分かることを45分もかけて教えるんだろう」というのがありますが、頭のできがdifferentなんでしょうね。
本局では後手の広瀬先生が△7二金と寄る工夫をされました。しかし、この手は藤井先生の研究の範囲内だったようで、あまり時間を使わずに▲4五桂と積極的に仕掛けていきます。今回の竜王戦七番勝負では広瀬先生が周到な準備によって藤井先生の研究を外してリードを奪う展開が多かったですが、本局ではそうなりませんでした。そして、序中盤である程度リードを奪えないとなると藤井先生に勝つのは非常に難しくなります。
第2章 抜け出す
仕掛けから互角の中盤戦が続きましたが、広瀬先生が何度か最善手を逃したことで、藤井先生がリードを奪います。このように中終盤で藤井先生が最善手を指し続け、相手が2、3番手の手を指すことで少しずつ藤井先生のリードが広がって行くのがよく見る展開です。藤井先生が中盤で抜け出し、▲3一銀が決め手になりました。
広瀬先生も「▲3一銀が鋭い手で、そこではっきり苦しくしてしまったのかと思いました」と振り返っています。
一方の藤井先生は「▲3一銀から攻め込んでいく形になって。そこからなんとか、攻めをつなげることができたのかなと思います」といつもながらの謙虚なコメント。奥ゆかしいです。
そこからも緩みない寄せで持ち時間を2時間近く残して藤井先生の快勝となりました。
第3章 八冠の先
本局に勝って藤井先生は見事に竜王初防衛を果たされました。将棋界最高峰のタイトルを2期連続で手中に収めたのはすごいです。藤井先生、おめでとうございます!
局後の藤井先生のインタビューを聞いてみましょう。
まず、シリーズを振り返ってみてどうだったか?
「内容的にも押されていた将棋が多くて大変なシリーズだったかなと思います。広瀬八段に序盤から工夫をされて、それに対して結構こちらがうまい対応を返せないということが多かったので。改めて自分の課題を感じたところはありました」
これは今回のシリーズの内容と藤井先生の人柄を知っていれば、当然予想された答えですね。藤井聡太検定10級くらいです(笑)。
対局相手の広瀬先生は「スコア以上の差があった」と完敗を認めてますが、藤井先生は内容に全く満足してない。実際今回は序盤でリードを奪われるケースが多かったので、藤井先生でなくとも「苦しいシリーズだった」という感想が残りそうです。いつも謙虚で自分に厳しい藤井先生ならなおさらですね。
続いては八冠について聞かれたときの返答です。
「それについては自分ではまったく意識することではないかな、と思っていますけど。今後も少しでも実力を高められるようにがんばりたいと思います」
聞く前から答えがわかっていましたので、この質問はしちゃダメですね(笑)。あなたは意識してるかもしれないけど、私は意識してませんよと。求めているのは絶対的な将棋の強さであって、タイトルは通過点でしかない。ある意味では、「八冠取りたい」より貪欲ですよ、藤井先生は。
仮の話ですけど、もし藤井先生が八冠目を獲得したとして、その番勝負が少しでも自分の満足のいかない内容だったら「課題の見つかったシリーズでした。もっと強くなりたいです」って言うはずですもん。
藤井先生がそういう方だから、これだけ多くの人が応援するのでしょう。
私もその一人です(^^)
完全版はこちらで読むことができます。
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お得で気軽に参加できる将棋大会『第6回 将棋情報局最強戦オンライン』11月13日開催! エントリー受付中
将棋情報局ゴールドメンバー限定記事「編集部島田が綴る 今月の藤井聡太」第4弾でございます。年末に新型コロナウイルスに感染してしまい、12月の記事更新はお休みさせていただきました。楽しみにしてくださっていた2,3名の皆様、申し訳ございませんでした。前回の記事で藤井先生の健康を心配しているようなことを書きましたが、私が倒れてしまっては母親失格です(謎)。
体調の方はおかげさまで全快しました。一時は熱が40度まで上がってしまったのですが、私には藤井先生の活躍を極力長く見続けるという人生の(気持ち悪い)目標がありますので、その思いを胸に耐え忍びました。藤井先生は光であり薬です。
ということで、「今月の藤井聡太」が「先月の藤井聡太」になってしまいましたが、去年のことを思い出しながら読んでいただければ幸いです。
まず、記憶を取り戻すべく12月の藤井先生の対局をまとめてみます。
12月の対局まとめ
2、3日 竜王戦七番勝負第6局 広瀬章人八段戦 勝ち
8日 棋王戦挑戦者決定トーナメント敗者復活戦 羽生善治九段戦 勝ち19日 棋王戦挑戦者決定二番勝負第1局 佐藤天彦九段戦 勝ち
23日 A級順位戦 佐藤天彦九段戦 勝ち
27日 棋王戦挑戦者決定二番勝負第2局 佐藤天彦九段戦 勝ち
タイトル戦、挑戦をめぐる戦い、A級順位戦と全て重要対局でしたが、5戦全勝!ということで、さすが藤井先生です。また、12月は5局中3局が佐藤天彦九段との対局でした。それぞれ違う将棋で見応えがありましたね。
さて、ここからはいつものように一局ずつ振り返っていきましょう(^^)
竜王初防衛!
12月2、3日 広瀬章人八段戦第35期竜王戦七番勝負(主催:読売新聞社)第6局
序章 指宿白水館
本局は鹿児島県の指宿白水館で行われました。近年の竜王戦では定番となっている対局場です。そして指宿白水館と言えば砂むし温泉。皆さんご存知の通り、対局の後に藤井聡太竜王、広瀬章人八段、藤井猛九段(立会人)、佐々木勇気七段(永世砂王)、といった方々が砂むし風呂に入っていて、平和な空気が流れてましたね。楽しそうで羨ましかったです。
一応私も、藤井竜王の隣で砂むし風呂で横になって、
「藤井先生、結構熱いですね」
「そうですね、思ったより熱いです」
と会話する妄想だけはしておきました(妄想の自由)。
第1章 角換わりを極める男
さて、藤井先生の3勝2敗で迎えた本局、先手番になった藤井先生が選んだ戦法は角換わりでした。序盤で角を交換するから角換わりです。おそらく今、藤井先生にとって一番興味のある戦法で、研究量も精度も将棋界トップクラスです。これだけ多忙を極める中でいつ研究してるの?と思うのですが、超高性能のAIと藤井先生の頭脳の相乗効果により、研究効率が最大化されてるんだと思います。私の好きな藤井先生の名言(?)の一つに「(学校は)どうして5分で分かることを45分もかけて教えるんだろう」というのがありますが、頭のできがdifferentなんでしょうね。
本局では後手の広瀬先生が△7二金と寄る工夫をされました。しかし、この手は藤井先生の研究の範囲内だったようで、あまり時間を使わずに▲4五桂と積極的に仕掛けていきます。今回の竜王戦七番勝負では広瀬先生が周到な準備によって藤井先生の研究を外してリードを奪う展開が多かったですが、本局ではそうなりませんでした。そして、序中盤である程度リードを奪えないとなると藤井先生に勝つのは非常に難しくなります。
第2章 抜け出す
仕掛けから互角の中盤戦が続きましたが、広瀬先生が何度か最善手を逃したことで、藤井先生がリードを奪います。このように中終盤で藤井先生が最善手を指し続け、相手が2、3番手の手を指すことで少しずつ藤井先生のリードが広がって行くのがよく見る展開です。藤井先生が中盤で抜け出し、▲3一銀が決め手になりました。
広瀬先生も「▲3一銀が鋭い手で、そこではっきり苦しくしてしまったのかと思いました」と振り返っています。
一方の藤井先生は「▲3一銀から攻め込んでいく形になって。そこからなんとか、攻めをつなげることができたのかなと思います」といつもながらの謙虚なコメント。奥ゆかしいです。
そこからも緩みない寄せで持ち時間を2時間近く残して藤井先生の快勝となりました。
第3章 八冠の先
本局に勝って藤井先生は見事に竜王初防衛を果たされました。将棋界最高峰のタイトルを2期連続で手中に収めたのはすごいです。藤井先生、おめでとうございます!
局後の藤井先生のインタビューを聞いてみましょう。
まず、シリーズを振り返ってみてどうだったか?
「内容的にも押されていた将棋が多くて大変なシリーズだったかなと思います。広瀬八段に序盤から工夫をされて、それに対して結構こちらがうまい対応を返せないということが多かったので。改めて自分の課題を感じたところはありました」
これは今回のシリーズの内容と藤井先生の人柄を知っていれば、当然予想された答えですね。藤井聡太検定10級くらいです(笑)。
対局相手の広瀬先生は「スコア以上の差があった」と完敗を認めてますが、藤井先生は内容に全く満足してない。実際今回は序盤でリードを奪われるケースが多かったので、藤井先生でなくとも「苦しいシリーズだった」という感想が残りそうです。いつも謙虚で自分に厳しい藤井先生ならなおさらですね。
続いては八冠について聞かれたときの返答です。
「それについては自分ではまったく意識することではないかな、と思っていますけど。今後も少しでも実力を高められるようにがんばりたいと思います」
聞く前から答えがわかっていましたので、この質問はしちゃダメですね(笑)。あなたは意識してるかもしれないけど、私は意識してませんよと。求めているのは絶対的な将棋の強さであって、タイトルは通過点でしかない。ある意味では、「八冠取りたい」より貪欲ですよ、藤井先生は。
仮の話ですけど、もし藤井先生が八冠目を獲得したとして、その番勝負が少しでも自分の満足のいかない内容だったら「課題の見つかったシリーズでした。もっと強くなりたいです」って言うはずですもん。
藤井先生がそういう方だから、これだけ多くの人が応援するのでしょう。
私もその一人です(^^)
いざ、挑決へ
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