18歳差のプロアマ対決は藤本四段に軍配 第36期竜王戦6組ランキング戦|将棋情報局

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18歳差のプロアマ対決は藤本四段に軍配 第36期竜王戦6組ランキング戦

第36期竜王戦6組ランキング戦(主催:読売新聞社)は、藤本渚四段-鈴木肇アマ戦が12月16日(金)に関西将棋会館で行われました。対局の結果、藤本四段が105手で勝って2回戦進出を決めました。

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■藤本四段のデビュー戦
 
藤本四段は香川県出身の17歳。今年9月まで行われた三段リーグで四段昇段を決めました。本局がデビュー戦となります。対する鈴木アマは神奈川県出身の35歳。アマチュア名人戦をはじめとする数多くのアマチュア大会での優勝経験を誇ります。今年6月に行われたアマチュア竜王戦での好成績を理由に本局の出場権を獲得しました。
 
振り駒がおこなわれた本局は、後手となった鈴木アマが角道を止めた四間飛車に構えて幕を開けました。これに対して先手の藤本四段は玉を舟囲いに囲ったのち、右銀を六段目に出して急戦の態度を見せます。仕掛けをチラつかせながら角道を止めて持久戦の構えに転じたのが藤本四段の用意した現代的な指し回し。四間飛車側の駒組みに制約を与えたまま自玉を堅陣に組み替える構想です。
 
■中央をめぐる攻防戦
 
藤本四段の構想を見た鈴木アマは、自身も理想形を築くべく4筋の位を取ります。先手陣が不安定なうちに戦いを起こす狙いですが、ここは藤本四段がスキのない駒組みをみせたことで戦いは持久戦に持ち込まれました。盤上は第二次駒組みに進展し、おたがいに玉を銀冠の堅陣に組み上げます。
 
3筋で桂交換が行われたのち、後手の鈴木アマが5筋と6筋の歩を連続で突き捨てたことで本格的な中盤戦に突入しました。素直に対応すると自玉付近にくさびの歩を打ち込まれると読んだ藤本四段も桂捨ての手筋で応戦します。形勢は互角ながら、先手陣に打たれた銀が手厚く後手の大駒を押さえ込んでいるのが大きく、藤本四段のペースで進展しています。
 
■一瞬のピンチ切り抜け藤本四段が勝利
 
中央に厚みを築いた藤本四段は、5筋に飛車を回って敵陣への飛車成りを狙います。このあたりは藤本四段が好調に攻めているように見えましたが、さらなる攻めを狙った藤本四段が金取りに桂を打ったとき、この桂を飛車で食いちぎったのが鈴木アマ渾身の勝負手でした。後手からのコビン攻めを警戒した藤本四段はこの飛車を取り返す手を後回しにしますが、この瞬間は鈴木アマにチャンスが到来していました。
 
結果的に、鈴木アマとしては取られそうな飛車を素直にかわす手が優りました。こうなると藤本四段としては打った桂をタダ取りされてしまう格好となり、鈴木アマ優勢となるところでした。実戦で後手が打った桂も攻めの好形ながら、飛車を取られると思った以上に攻めが細くなるのが鈴木アマの誤算でした。
 
中盤の難所を切り抜けた藤本四段は、ここから抜かりない手順で優勢を拡大します。後手からの攻めをいなしつつ連続の歩成りで後手玉への寄せの網を絞ったのが決め手になりました。最後は逆転の見込みなしと見た鈴木アマが駒を投じて熱戦に幕が引かれました。デビュー戦勝利を飾った藤本四段は次局で谷合廣紀四段と対局します。


藤本四段は理想的な時間配分で熱戦を乗り切った

水留啓(将棋情報局)

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