【試し読み版】編集部島田が綴る今月の藤井聡太 2022年11月編|将棋情報局

将棋情報局

【試し読み版】編集部島田が綴る今月の藤井聡太 2022年11月編

お得で気軽に参加できる将棋大会『第6回 将棋情報局最強戦オンライン』11月13日開催! エントリー受付中 皆さんこんにちは。「心で見なくちゃ、ものごとはよく見えないってことさ。かんじんなことは、目に見えないんだよ」でおなじみの編集部島田です。

将棋情報局ゴールドメンバー限定記事「編集部島田が綴る 今月の藤井聡太」第3弾でございます。待っていてくださった方、3人くらいだと思いますが大変お待たせいたしました。

年末になって皆さんバタバタし始めた頃かと思いますが、藤井先生も大忙し!竜王戦を戦いながらJT杯、順位戦、棋王戦と重要な対局が次々にやってきます。

お母さん島田としては藤井先生の体調面がかなり心配です。タイトル戦は移動もあるので拘束時間が長くて大変。コロナもまた増えてきましたし、インフルエンザもあるし、軽い風邪を引いただけでも対局には大きな影響が出てしまうので、とにかく健康第一で過ごしていただければと願うばかりです。
夜は温かくして寝るんやで(なでなで)。

さて、冒頭から気持ち悪さが炸裂したところで、今回も藤井先生の将棋と人間的な魅力について存分に語ってまいりましょう。
今月は対局がたくさんありましたので、記事も長いです。頑張って最後まで読んでいただけるとうれしいです。

===============================

結果的に勝つ

10月28、29日 広瀬章人八段戦
第35期竜王戦七番勝負(主催:読売新聞社)第3局

■序章 仕切り直しの五番勝負
本局は10月に行われたものですが、月末だったので今回取り上げます。
将棋界最高峰のタイトルを争う竜王戦七番勝負は挑戦者広瀬八段が先勝し、藤井竜王が1勝を返して1-1のタイに。改めての五番勝負となりました。
ここまでで気になるのは2局とも広瀬先生が序盤でリードを奪っていること。藤井先生に勝つための2つの条件(1)序中盤でリードすること(2)そのリードを守り切ることの(1)の関門を2度も突破しています。広瀬先生の準備と、この番勝負に懸ける思いが伝わってくる内容で、「ここからどうなっていくんじゃろ?」とドキドキしながら迎えた第3局です。

■第1章 広瀬八段、みたびリードを奪う
本局は静岡県富士宮市「割烹旅館 たちばな」で行われました。対局室から富士山が見えたようです。

藤井先生は「対局室から本当に、富士山がすごく大きく見ることができて。とてもよいところで対局させていただいたな、というふうに思っています」と述べています。

本当に思っていた以上に大きく見えたんでしょうね。私クラスになると藤井先生の大体の言葉に感動してしまうんですが、素直な驚きと喜び、そして関係者への感謝を忘れないこの一言だけでご飯3杯いけます。

さて、本局は七番勝負では初めての相掛かりになりました。これまでの2局は序盤で角を交換する「角換わり」でしたが、「相掛かり」は初手から飛車の前の歩を進めて、角より飛車を先に使うイメージです。この相掛かりも両者得意とする戦型なので、ある程度予想された形といえます。
しかししかし、またしても広瀬先生の用意周到な研究手順が用意されていました。
先手となった広瀬先生は銀を使ってじわじわ勢力範囲を拡大する、相掛かりでは少し珍しい作戦を採用しました。ただし、この作戦には弱点があって後手にじっと待たれると攻撃の取っ掛かりつかめないのです。藤井先生もじっと待つ作戦を採用したのですが、そこで広瀬先生は▲4五歩という打開の手を用意していました。これが藤井先生も気づかなった好手で広瀬八段がリードを奪うことに成功します。

藤井先生は「(直前に)△8五歩と受けたのに▲4五歩で手になっているのでは破綻している」と局後に述べています。
自分の将棋に対して「破綻している」と厳しく断ずる姿勢にしびれますが、しびれている場合ではありません。なんと珍しいことに藤井先生が3局連続で序中盤にリードされる事態になったのでした。

■第2章 強手炸裂!
藤井先生を相手にリードを奪っても、そのリードを守り切るのが至難の業です。
2日目に入っても苦しい情勢が続くなか、藤井先生は逆転のタイミングを狙っていました。飛車銀両取りに角を打たれたのに対して△7五飛!と飛車をズバッと走ったのが目の覚めるような一手でした。

藤井先生も「△7五飛から△7七歩と打って。こちらの攻めの手番が来る展開になったので、ちょっと、そのあたりは少し、難しくなったかなと思っていました」とおっしゃっています。

藤井先生が「ちょっと、そのあたりは少し、難しくなったかなと思っていました」ということは「かなり難しい」という意味です。

そこからは一瞬でした。相手陣を切り裂くような角打ちから馬を作ってあっという間に広瀬玉は受けのない形に。いつもながらの電光石火の寄せが決まりました。

見事な逆転勝利、藤井先生風に言うと「結果的に勝った将棋」ということになりました。

これで対戦成績は藤井先生が2勝1敗とリードしました。
しかし、第2局までと同様途中まで藤井先生がリードを許していたこともあり、この七番勝負がひと筋縄ではいかないことを予感させる内容でした。

敗れたけれど

完全版はこちらで読むことができます。
ゴールドメンバー入会はこちら
お得で気軽に参加できる将棋大会『第6回 将棋情報局最強戦オンライン』11月13日開催! エントリー受付中
将棋情報局では、お得なキャンペーンや新着コンテンツの情報をお届けしています。