細かすぎて伝わらない!『藤井聡太の将棋入門』コラム用インタビューのニュアンスの補足|将棋情報局

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細かすぎて伝わらない!『藤井聡太の将棋入門』コラム用インタビューのニュアンスの補足

(1)稀有な例
(2)それはあった
(3)衝撃の事実
(4)8級時代のエピソードがかわいすぎる件

お得で気軽に参加できる将棋大会『第6回 将棋情報局最強戦オンライン』11月13日開催! エントリー受付中 皆さんこんにちは。「失敗したことのない人間というのは、挑戦をしたことのない人間である」でおなじみの編集部島田です。

さぁ皆さんお待ちかね(待ってない)、島田が藤井竜王について気持ち悪く語る時間がやってまいりました。

本日は、現在予約受付中の『藤井聡太の将棋入門』の予約特典「コラム用 藤井聡太竜王インタビュー」の補足を書いていきたいと思います。



ちょっとわかりにくいので説明しますと、まず、9月22日に『藤井聡太の将棋入門』という本が出ます。この本は将棋のルールから基本的な将棋の勝ち方まで学べる将棋入門書なのですが、大きな特長として、ところどころに藤井聡太竜王のコラムが入ります。

このコラムは藤井先生にしゃべっていただいて、島田が聞き書きしたものです。
もちろん、紙面に載っているものはしゃべっていただいた内容を整えたものになるのですが、整える前の会話をそのままお届けするのが今回の予約特典です。
話し言葉なので、インタビューの空気感というか、その場のノリみたいなものもよく伝わると思います。

今日はこの「コラム用 藤井聡太竜王インタビュー」の微妙なニュアンスを補足していきます。
よろしくお願いします。

今回のMENUは以下の通りです。
(1)稀有な例
(2)それはあった
(3)衝撃の事実
(4)8級時代のエピソードがかわいすぎる件

勢い余って4つあります。ミカエル・ラファエル・ガブリエル・ウリエル、天使のように清らかな心で読んでください。
それでは、行きましょう!


(1)稀有な例
まず先鋒は「稀有な例」。これはインタビューの冒頭、将棋を覚えたときのことを聞いた際に現れました。

島田:おばあ様にも勝つようになって、おじい様にも勝つようになったと。

藤井:そうですね。教室に入る前には祖父にも勝てるようになりました。将棋を楽しく感じたのは、「祖父や祖母に勝ててうれしい」という気持ちが強かったからかもしれません。

島田:なるほど。おばあ様→おじい様→教室みたいな。そういうステップアップみたいな感じで。教室に入る前にどう上達していったのかが不思議なんですけど。

藤井:祖母がレベル0で、祖父がレベル1みたいな感じだったので(笑)。

島田:「あ、自分強いじゃん!」みたいな(笑)。自然にレベル2くらいまでは行ったんですね。それがよかったんですかね。めちゃくちゃ強い人に教わらないで、弱い人に教わったほうがいい説がありますね。

藤井:確かにそうかもしれないですね。相手がレベル10だったら厳しい(笑)。


我ながらなんとも微笑ましいインタビューで、思い出すだけで幸せな気持ちがよみがえってきます(もう気持ち悪い)。

さて、将棋を覚えるとき、普通は経験者に教わるので、教わったほうは全く勝てません。私も父に将棋を教わったのですが、全然勝てませんでした。片方がルールを知っている時点で大差ですからね。

普通にやると勝ってしまうので、教える方が玉1枚だけにするなどして、わざと負けることもあります。

つまり、将棋を始める時、大抵は「負ける」か「相手がわざと負けて勝つ」かどちらかです。

ところが藤井先生の場合はそうではなかったんですね。「相手も全力だったのに勝つ」というところからスタートしてる。考えてみるとこれは稀有な例なのではないか、と思いながらお話を聞いていた記憶があります。

レベル0とレベル1で聡太少年の相手をしてくれたおばあ様とおじい様に、心から感謝したいです。
このとき聡太少年が将棋に興味を示さなかったら、私を含め多くの人の人生が変わっていたことでしょう(笑)。


(2)それはあった
2つ目のテーマは「それはあった」です。これも将棋を覚えた当時の話で現れました。

島田:1手詰めが最初から分かったと。すごいですね。「自分、このゲーム向いているかも!」と思ったりはしましたか?

藤井:向いているかどうかはともかく、やっぱり「祖母や祖父に勝てて、うれしい」という気持ちが強かったと思います。

島田:褒められると伸びる、みたいな。やっぱり「負けず嫌い」感みたいなところは、最初からあったんですかね。

藤井:それはあったと思います。

「向いているかどうかはともかく」はいかにも藤井調の指し回し。この付録を読んでいただければわかりますが、この「はっきり〇〇というわけではないんですけど」のような藤井先生独特の枕詞は何度も出てきます。奥ゆかしくていいですね。いとおかしです。

で、そのうえで「負けず嫌い」なところは最初からありましたか? という質問に対しては、迷いなくはっきりと「それはあったと思います」。

このセリフを聞いた時、私は心の中で「やっぱり、それはあったんですね」と思っていました。
個人的に負けず嫌いな藤井先生が大好きなので、なんかすごくうれしかったです。


(3)衝撃の事実
さて、続いては「衝撃の事実」です。「覚えにくかったルール」について話していた時に飛び出しました。

島田:では「動きが覚えにくかった駒」は。

藤井:うーん…。いや、あまり苦戦したという記憶はないです(笑)。

島田:よく、金と銀の動きを間違える子がいると聞くじゃないですか。そういうことはなかったですか。

藤井:確かに祖母は銀を真横に動かしたりしていたので(笑)。

島田:(笑)。おばあ様のエピソードとして、銀が難しかったと。藤井先生自身はすんなり覚えたんですね。

藤井:そう思います。

「金」と「銀」の動きを間違うのは人間なら誰しもが通る道だと思っていたんですが、藤井先生はすんなり通過したんですね。驚きました。

でも、「衝撃の事実」はこれではないのです。次の「最後に覚えた将棋のルール」についての藤井先生の回答を見てください。

島田:あとは「最後に覚えた将棋のルール」は。

藤井:そうですね……。私は入玉宣言法をちゃんと覚えていないので(笑)。

島田:(笑)。

藤井:いまだに覚えていない(笑)。

・・・藤井竜王、入玉宣言法のルールをちゃんと覚えてないという事実!!

これは驚きました。細かいルールですし、藤井先生が実戦で使うことはまずないと思いますが。
先日、マイナビ女子オープン一斉予選で現れて話題になったので、藤井先生ももう覚えているかもしれません。

かく言う私も、ちゃんと覚えているかと言われると自信ないです(笑)。


(4)8級時代のエピソードがかわいすぎる件
気がつけば最後になってしまいました。光陰矢の如しとはこのことです(違う)。
最後は「8級時代のエピソードがかわいすぎる件」。タイトル長いです。
このエピソードは藤井先生が幼稚園生のとき、8級の時のお話なのですが、どこかで披露されたことがあったでしょうか? 私は知らなかったです。

とにもかくにも読んでください。

島田:次に、「子どものころの将棋の思い出」を教えてください。何か覚えていることはありますか。

藤井:そうですね……。これは母から聞いた話なんですけど、幼稚園の年長のときにJT杯の東海大会に出ました。そのときに通っていた教室では8級でしたが、それでもJT杯は初心者の子が多いので、結構、勝つことができたようです。そのうち、対局のたびに相手の子に「何級?」と訊いて、自分の「8級」が上のほうだったので、自信を持っていたらしいです(笑)。そのときにも本戦に行けたと思うんですけど、勝ち進んでいくうちに相手の子に「何級?」と聞いたら「二段」と答えられて、あっけなく負けてしまったという(笑)。

島田:そもそも級じゃなかったんですね(笑)。

藤井:8級なのに聞いていたのが面白かったんじゃないかなと(笑)。

島田:強気の8級だったんですね(笑)。8級なのに聞いて回る強さ。8級は結構、上のほうだと思っていたんですね、その界隈では。

藤井:その可能性があります(笑)。

幼稚園生の聡太少年が「きみ、なんきゅう?」と相手に聞いて回っている光景を想像するだけで、身悶えてご飯3杯はいけます。

このエピソードのいいところは最後、二段の子にあっけなく負けるところですよね。

普通、相手に棋力を聞いて、自分の棋力の方が上で勝ちまくっていたら、それは嫌なやつです(笑)。
藤井先生も、もしこの時の大会で自分が優勝していたら、このエピソードを披露することはなかったと思います。向こう見ずなわんぱく少年が、最後に鼻っ柱を見事にへし折られるオチがあるから話していただけたんだと思っています。

いつだって驕らないのが藤井流。

最後のエピソードは幼稚園児の藤井少年の可愛らしさと、今の藤井先生の謙虚さの両方を堪能できるお話で、全体として大好きです。


・・・だいぶ長くなりましたが、今回の記事は以上となります。

他にも、最初に動き方を覚えた駒は「推定玉」とか、将棋の魅力を語っているうちに自分の言っていることがあまりにも難しく、子どもに伝わらないことに気づいて途中で笑い出してしまう藤井先生とか、語りたいことはたくさんあるんですけど、それは特典を読んでのお楽しみということで。

藤井先生もリラックスした様子でインタビューに答えている感じが伝わると思いますので、ぜひ読んでいただければ幸いです。

よろしくお願いいたします。


インタビュー中の藤井竜王。お邪魔するたびに物が増えていくお部屋。
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