『振り飛車年鑑』より 佐藤天彦九段がAI時代に鳴らす警鐘|将棋情報局

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『振り飛車年鑑』より 佐藤天彦九段がAI時代に鳴らす警鐘

『振り飛車年鑑2021』に収録された佐藤天彦九段インタビューの一部を紹介!

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みなさんこんにちは。「物事の起源がどこにあるかは問題ではない。問題は、それが真実かどうか、ということである」でおなじみの編集部島田です。

2021年12月28日に『令和3年版 振り飛車年鑑2021』が発売されます。
 


振り飛車の将棋だけをプロの解説付きで350局収録した野心的な一冊。巻頭特集も豪華で藤井猛九段、菅井竜也八段、佐藤天彦九段のインタビューを掲載しています。

その中で、本日は佐藤天彦九段のインタビューの一部をご紹介します。振り飛車党に限らず、全将棋ファンに読んでいただきたい内容になっております。

それでは、どうぞ!!

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(昔はバランス型の将棋が当たり前だったという話を受けて)

―― ルネサンスですね。平成の将棋がむしろ異質だったんだと。

「そうですね。渡辺理論の『必然の逆転勝ち』じゃないですけど、人間は間違えるから固めておいたほうがいいんだという。もちろんそれは今でも一理あるんですけど、反面そういう主流の価値観に常に迎合してしまうことは怖いことでもありますよね。

 将棋は結果でフィードバックされる世界なので渡辺さんのような強い人が、王様を固めるのが良いという理論を唱えて、それで勝っているとみんなついて行くっていう傾向があって、ある程度フォローするのは全然構わないと思うんですけど、やっぱりこう、『こぼれ落ちていく部分』というのもあると思うので。

 以前、ソフトが出てきたときにインタビューで答えたんですけど、強い人が指したからとか、大舞台で指して成功した新手だからとか、ある種権威によって認められた手を割と素直に人間は受け入れてしまうんですよね。そして、その前提の上に建物を積み重ねてきたわけですけど、その基礎の部分がそもそもどうなんですかと、それをソフトに指摘してもらえたことが技術的な進歩につながったという意味では、ソフトの台頭も決して悲観すべきことではないんじゃないかということを話しました。

 じゃあこれからどうするかとなったときに、今度はソフトのみを信奉することになると、今まで信じてきたタイトルホルダーという存在が単にソフトに置き換わっただけということになってしまう。ある特定の権威に依拠した指し手の選び方が全てではないということをソフトが示してくれたのに、数年後にはソフトが最高権威になってみんながそれに従っているというのもちょっとおかしいんじゃないか。そういう問題意識を出したいというか、自然に出てしまっているというか、そういうところはありますね」


―― いろんな考え方を相対化するということですね。何も絶対視しないで。

「どうしても現行の主流の価値観に寄るということはあると思います。その中で、ソフトで研究することがすごく自分の体に合っていて、結果が出せるしいい将棋が指せるという人もちゃんといて、そういう人の将棋は面白いと思うし、それはそれでいいと思います。でもそうじゃない人まで影響を受けて、自分の持ち味を出せないまま終わっちゃうのってさみしいじゃないですか。だから自分には合わないなと思ったらそうじゃない将棋を指すという当たり前の考え方があってもいいのかなと」

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2時間以上にわたる超ロングインタビューになっておりますので、ぜひ『振り飛車年鑑』で全文を読んでいただければ幸いです。

よろしくお願いいたします。
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