一段目を這いよるマムシのと金で敵陣攻略 藤井聡太二冠が丸山忠久九段を破って叡王戦挑決に進出!|将棋情報局

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一段目を這いよるマムシのと金で敵陣攻略 藤井聡太二冠が丸山忠久九段を破って叡王戦挑決に進出!

26日の挑戦者決定戦では、豊島将之叡王への挑戦権を懸けて斎藤慎太郎八段と対決

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将棋の第6期叡王戦(主催:株式会社不二家)本戦トーナメント準決勝、▲藤井聡太二冠-△丸山忠久九段戦が6月22日に東京都「シャトーアメーバ」で行われました。結果は87手で藤井二冠が勝利。挑戦者決定戦に駒を進めています。


第6期叡王戦本戦トーナメント表

両者は過去に1度、第33期竜王戦決勝トーナメントで対戦があり、その時は丸山九段が一手損角換わりで藤井二冠を破りました。本局も振り駒の結果、丸山九段が後手番に。藤井二冠は再度丸山九段の一手損角換わりを受けて立ちました。

前回対局では棒銀を用いた藤井二冠ですが、本局は早繰り銀を採用しました。

藤井二冠は銀交換から5筋の歩を伸ばし、後手陣に圧力をかけていきます。丸山九段は持ち駒の銀を自陣に投入して対抗。低い陣形でひとまず相手の仕掛けを封じ、ベストなタイミングで歩と角を用いて攻めていこうという狙いです。すぐに動く順がなくなった藤井二冠は、金銀で玉を囲い、陣形を膨らませて戦いの時を待ちます。

満を持して動いていったのは丸山九段でした。3筋に歩を垂らしてと金作りをみせます。この歩を飛車で取ってくれば、角を打ち込んで馬を作れます。

藤井二冠はこの歩を取る前に、▲3四歩と銀取りに歩を突きました。銀を浮き駒にして、先ほど自陣に垂らされた歩を銀取りの先手で除去する狙いです。銀を引いて受けた丸山九段に対し、藤井二冠は攻めの手をゆるめません。2筋の歩を突き捨てて、▲2二歩と桂取りに歩を打ち込んでいきました。

丸山九段は△3三桂と逃げる手を選択しましたが、この後の展開を考えると、この手がどうだったか。飛車が自陣に直通したままで危ないところではありますが、△2七角と打って反撃していった方が良かったかもしれません。本譜は2一に作った藤井二冠のと金が大活躍したからです。

と金を作った藤井二冠は、▲1一とで香を入手してから、▲2一とと敵玉の寄せに再活用します。このと金を拠点に銀を王手で打ち込み、守りの金をはがしました。さらに詰めろで角を打ち込んで、と金と馬のコンビで丸山玉を寄せていきます。

この間、丸山九段が何もしていなかったわけではありません。丸山九段も馬とと金を作って攻めてはいましたが、藤井玉への響きがいまひとつでした。7八にいる藤井玉に対し、丸山九段のと金のいる位置は、はるか遠方の1九。一方の藤井二冠のと金は4一にいて、6一の丸山玉に襲い掛かっています。

丸山は桂を相手の歩の利きに打ち込んで、なんとか藤井玉を寄せようとしますが、藤井二冠は冷静に対応してチャンスを与えません。そして、丸山九段に飛車を取らせている間に、一直線に丸山玉へ迫ります。最後は先ほどと金で入手した香を8筋に打ち込んだのが決め手。盤上左辺からは香で、右辺からはと金と馬で丸山玉を包み込むように寄せ切って、勝利を収めました。

本局のMVPは何といっても藤井二冠のと金です。このと金の動きだけを抜粋すると、▲2一歩成~▲1一と~▲2一と~▲3一同と~▲4一と。敵陣一段を這って相手玉に迫っていく様は、まさに「マムシのと金」でした。

この勝利で藤井二冠は26日に行われる挑戦者決定戦に進出しました。豊島将之叡王への挑戦権を懸けて戦う相手は斎藤慎太郎八段です。両者の対戦成績は、藤井二冠の3勝2敗。斎藤八段が2連勝した後、現在は藤井二冠が3連勝中です。

もし藤井二冠が挑戦権獲得となれば、現在2勝0敗で防衛に王手をかけている棋聖戦、6月29日から第1局が始まる王位戦に続いて、3棋戦連続でタイトル戦登場となります。


棋聖戦・王位戦に続いて、3つ目のタイトル戦登場まであと1勝とした藤井二冠(提供:日本将棋連盟)

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