2021.06.17
斎藤慎太郎八段が佐々木大地五段を破って叡王戦挑戦者決定戦に進出 堂々とした指し回しで相手にチャンスを与えぬ完勝
挑戦者決定戦では藤井聡太二冠-丸山忠久九段戦の勝者と対戦する
将棋の第6期叡王戦(主催:株式会社不二家)本戦トーナメント準決勝、▲斎藤慎太郎八段-佐々木大地五段戦が6月16日に東京都「シャトーアメーバ」で行われました。結果は103手で斎藤八段が勝利。挑戦者決定戦に駒を進めました。
第6期叡王戦本戦トーナメント表
10時に始まった対局は、振り駒で斎藤八段が先手番になりました。戦型は角換わりになり、後手の佐々木五段は徹底した待機戦術を採ります。
最初は4二に上がった玉を5二~6三~7二と大移動して右玉に構えます。先手の斎藤八段も金銀を動かして陣形を整備し、仕掛けのタイミングを伺いました。
すると、佐々木五段は今度は玉を自分から見て左へと移動させました。先手の構えを見て、右玉よりも安定するとの読みでしょう。ところがこの動きによって生じたすきを斎藤八段は見逃しませんでした。
後手があと1手指せれば万全の陣形になるという、絶妙なタイミングで斎藤八段は▲4五歩と仕掛けていきます。佐々木玉は4二にやってきたばかりで、当たりが強くなっていました。やむなく佐々木五段が飛車を△4一飛と転回して受けに用いたところで、今度は自らの玉頭を開拓。桂交換から歩を伸ばしていき、と金作りを見せて後手にプレッシャーをかけました。
ゆっくりしていると、と金を作られて勝負所がなくなるとみた佐々木五段は、無理気味な攻めながらも暴れていきます。しかし、斎藤八段の対応は的確でした。▲6八角の自陣角が決め手とも言える受けの好手。これで佐々木五段の攻めを完封しています。
攻めが止まる、すなわち負け、という状況の佐々木五段はなおも攻めを継続しようとしますが、先細る一方。そして103手目、斎藤八段に攻めの要の駒である桂を除去されたタイミングで、佐々木五段は投了を告げました。
本局は、絶好のタイミングの仕掛けでペースを握り、相手の無理な動きに冷静に対処した斎藤八段の快勝となりました。この勝利で斎藤八段は挑戦者決定戦に進出です。
第79期名人戦七番勝負では渡辺明名人に1勝4敗で敗れ、タイトル獲得とはならなかった斎藤八段。早くも次のタイトル挑戦のチャンスをつかんでいます。挑決の相手は藤井聡太二冠-丸山忠久九段戦の勝者です。豊島将之叡王への挑戦権獲得なるでしょうか。
名人戦ではタイトル奪取は叶わなかった斎藤八段。写真は名人戦第1局のもの(提供:日本将棋連盟)