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【探求3】藤井聡太のマグマはどこに行ったのか? ~ターニングポイントは奨励会~

『藤井聡太の軌跡』で生まれた疑問をゆる~く追う

【5/14まで】今、『将棋世界』の定期購読を申し込むと、藤井聡太二冠の複製サイン入りポスターをもれなくプレゼント! こんにちは。なんだかんだ緑茶が好きな編集部島田です。

さて、この連載もついに最終回になりました(3回しかやってませんけど)。
3回目までついて来てくださっている方、6人くらいいると思ってます。ありがとうございます。
ZARDさんの「負けないで」にのせて最後まで走り抜けたいと思います。

まず、ざっとここまでの流れを振り返ってみましょう。
第1回で提示した問題は次のようなものでした。
 
子どもの頃の気性の激しい藤井二冠と、現在の聖人のような藤井二冠のギャップってすごいよね。どうしてそうなったの?

この疑問を文本先生にぶつけてみたのが第2回。文本先生のお話で、どうやら中学1年生のときに劇的に変貌を遂げたらしい、ということがわかりました。

そのターニングポイントを追跡するのが今回のミッションです。改めて『藤井聡太の軌跡』を読み返してみたところ、・・・ありました。その変貌の瞬間が記述されている部分が。



2016年3月、第13回詰将棋解答選手権に参加した藤井二冠について、浦野真彦八段が述懐しています。
このとき藤井二冠は中学1年生。前年、小学6年生にして詰将棋解答選手権を制し、ディフェンディングチャンピオンとして参加した年です。

「藤井君に会うのは久しぶりで、朝、あいさつしようかと思って選手控室を探したけど見当たらない。もう一度見渡して、藤井君かなと思える若者を発見。近づいて『ひょっとして藤井君?』と聞いて『大きなってるからわからんかったわ』と言ったら、彼は笑っていました。最後に会ったのが小学生だったので、背が伸びていることと顔つきが変わっていることにビックリでしたね」

文本先生も急に青年の相になって驚いたとおっしゃってましたが、まさに同じ感想です。
その時の写真がありますので見てみましょう。


写真提供/虹

・・・たたた、確かに!
藤井二冠って、小さい頃丸顔で女の子のようなのに、今は面長でキリっとしていて、輪郭が変わってるんですよね。その境目がここだったんですね。
浦野先生が見つけられないのも仕方ないところ。文本先生も急な変わりように驚いたと言っていましたね。

さて、見た目が変わったタイミングはわかりましたが、問題は中身です。
藤井二冠はなぜ「泣くのをやめた」のでしょうか??

『藤井聡太の軌跡』第3章から抜粋します。

初めて見る奨励会は、「今までの教室や研修会とは別世界だった」と棋士になってからの藤井は言っている。棋士になれない奨励会員は、やめて別の世界に行くしかない。高校や大学への進学をあきらめて戦っている奨励会員も多い。大げさではなく、奨励会員は命を懸けて戦っている。その真剣さに接して藤井少年の気持ちも変わった。負けて泣くこともなくなった。「泣いている場合じゃないと思った」と藤井は言う。

・・・なるほど。奨励会での厳しい戦いが藤井二冠を変えたんですね。泣いている場合じゃない、泣いてる暇があったら将棋の勉強したほうがいいと。

永瀬拓矢先生の「負けた言い訳を考えてる時間があったら、将棋の勉強をしたほうがいい」というのに似てますね。

さて、以上のことから私なりに考察をまとめると、次のようになります。
 
(1)子どもの頃は感情をそのまま表していたが、奨励会の戦いの中でマグマを表出することをやめた
(2)(1)と、元々のシャイな性格、優しさ、頭の回転の速さが相まって、聖人の振る舞いのように見える
(3)藤井聡太のマグマはどこにも行っていない。外に出すことをやめただけで、藤井二冠の中にあり続けている

と、いうわけで「藤井聡太のマグマはどこに行ったのか?」と題してお送りしてきたこの連載も一応の結論に達することができました。

まぁ「どこにも行ってない」という結論なんですけど(苦笑)

面白いなと思うのは、時々そのマグマが外に顔を出すことですよね。ちょっとした表情やしぐさ、言動の中に、心の奥底に秘めた激情が垣間見えることがあります。そういう時、少しだけうれしくなってしまうのは私だけではないはず。

藤井二冠の魅力は、多面的であること。幼さも大人っぽさも、可愛らしさも鬼神のような強さも「藤井聡太」という一人の人格の中で同居している。だから彼は、我々を魅了してやまないのでしょう。

これから藤井二冠がどのように20代、30代と年を重ねて行くのか、それを同時代で見られることに幸福を感じます。

さぁ今日も、藤井二冠の魅力に酔いしれましょうぞ。

(完)

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