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藤井聡太二冠、佐々木勇気七段が2期連続アベック昇級を決める! 昇級の残り1枠は大混戦 第79期順位戦B級2組

藤井二冠は9連勝、佐々木七段は藤井二冠に敗れたのみの8勝1敗の成績で昇級

第79期順位戦B級2組(主催:毎日新聞社・朝日新聞社)の10回戦が2月9日に東西の将棋会館で一斉に行われました。藤井聡太二冠と佐々木勇気七段は共に勝利し、最終戦を残しての昇級達成。一方2敗勢は全員敗れたため、残り1つの昇級枠のゆくえは大混戦模様となっています。

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上位勢を抜粋した今期のB級2組成績表。昇級枠残り1つ

藤井二冠は窪田義行七段と対戦。窪田七段の四間飛車に対し、銀冠に組んで持久戦にするのかと思いきや、囲い構築の途中(のように見える)段階で右銀を繰り出して先攻していきました。

従来の振り飛車に対する戦い方は、持久戦と急戦の2つに大きく分けることができました。持久戦の場合は、左美濃や銀冠、穴熊に玉をがっちり囲ってから仕掛けを模索するのがセオリー。一方、急戦は玉の囲いは極力簡素にして、速攻をするのがセオリーでした。

ところが本局の藤井二冠の構想は、それらの中間のようなものでした。工夫点は角道を閉じずに囲いに向かったところです。持久戦を目指す場合は、角道を閉じるのが一般的。しかし、角道を一度閉じてしまうと、急戦に切り替えることは困難になります。藤井二冠は相手の形を見て持久戦、急戦どちらも選べるようにしていたのです。

本譜は振り飛車の陣形に隙が生じたから仕掛けていったのか、それとも元々本譜以上に玉を囲う予定がなかったのかは分かりません。しかしながら、囲い一辺倒でも攻め一辺倒でもない進行は、新時代の振り飛車対策を感じさせました。

仕掛けからペースを握った藤井二冠は、竜と馬、と金を作って相手の美濃に迫ります。窪田七段もと金を作って藤井玉に攻めかかろうとしますが、それを阻止する藤井二冠の香打ちが妙手でした。この香打ちは角取りになっていますが、と金にすぐに取られてしまいます。しかし、と金を玉から遠ざけることで相手の攻めを遅らせる効果があるのです。やむなく窪田七段はこの香を取りましたが、以後このと金が寄せに働くことはありませんでした。

相手からの攻めを消し、万全の状態を築いた藤井二冠はいよいよ窪田玉の寄せに向かいました。横からは竜とと金、縦からは香と桂で美濃囲いに襲い掛かります。窪田七段は自陣に駒を投入して粘りましたが、藤井二冠の攻めは止まりません。

藤井二冠の100手目を見て窪田七段は投了を告げました。藤井玉は全くの手つかずという、藤井二冠の快勝でした。

藤井二冠はこの勝利でB級2組で9連勝。1局残してB級1組への昇級を決めました。順位戦の通算成績は38勝1敗。連勝を20に伸ばしています。

1敗で2番手追走の佐々木七段は、2敗の大石直嗣七段と対戦。歩を駆使して相手陣を切り崩してからの飛車切りが決め手。大石玉を中段で捕まえることに成功し、勝利を収めました。競争相手の2敗勢が敗れたため、佐々木七段も1局残して昇級達成。藤井二冠と共に、1期でB級2組を通過です。

問題は残りの昇級枠1つですが、こちらは波乱の展開です。9回戦終了時点で2敗だった横山泰明七段、中田宏樹八段、大石直嗣七段が全員敗れたため、昇級ラインは3敗に後退。そのため、3敗の澤田真吾六段、村山慈明七段、中村太地七段にもチャンスが生まれました。また、4敗で順位が上位の谷川浩司九段にまで昇級の目があり、1枠を7人で争うことになりました。

最終11回戦は3月11日に行われます。すでに昇級を決めた二人は有終の美を飾るのか。大混戦の昇級のゆくえはどうなるのか。楽しみでなりません。

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B級1組へ昇級を決めた藤井二冠。順位戦の強さは圧倒的(提供:日本将棋連盟)


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