2020.12.17
棋聖と王位を獲得! 大活躍だった藤井聡太二冠のここまでの2020年度を振り返る
今年度もここまで34勝8敗、勝率8割1分の高勝率。4年連続勝率8割超えも射程圏内
12月16日に東京・将棋会館で行われた、第79期順位戦B級2組8回戦(主催:毎日新聞社・朝日新聞社)の対局で野月浩貴八段に勝利した藤井聡太二冠。この勝利で今期順位戦成績を7勝0敗とし、首位を維持しています。
この対局が2020年最後の対局だった藤井二冠。棋聖と王位のタイトルを獲得し、銀河戦で棋戦優勝を果たすなど、大活躍だった今年度を振り返ります。
初戴冠を果たした第91期ヒューリック杯棋聖戦
6月2日:決勝トーナメント準決勝、佐藤天彦九段戦
6月4日:挑戦者決定戦、永瀬拓矢二冠
約2か月の対局中断期間明け初戦となった佐藤九段戦に勝利すると、中1日で挑戦者決定戦を戦った藤井七段。相掛かりの戦型となった永瀬二冠との将棋は、永瀬二冠の巧みな指し回しの前に苦戦を強いられました。しかし、妙手△3六銀を境に流れが変わります。形勢を互角に引き戻すと、永瀬二冠の失着をとがめて勝利を収めました。
17歳10カ月20日での挑戦は、31年前に屋敷伸之九段が達成した17歳10カ月24日の記録を更新する最年少記録。初のタイトル戦は渡辺明棋聖との対決です。
6月8日:五番勝負第1局〇
6月28日:五番勝負第2局〇
7月9日:五番勝負第3局●
7月16日:五番勝負第4局〇
タイトル戦初登場の第1局はスーツで挑んだ藤井七段。後日「日程を見て、なんとなく第2局から和服を着るイメージを持ちました」と語っています。第1、2局は藤井七段が勝利。第2局の受けの妙手△3一銀は大きな話題を呼びました。第3局は完敗を喫したものの、第4局で勝利を収めて、初タイトル獲得を果たしました。
17歳11カ月での初戴冠は、屋敷伸之九段の持つ18歳6カ月の記録を大きく上回る最年少記録となりました。
一気の4連勝で二冠目獲得の第61期王位戦】
6月23日:挑戦者決定戦、永瀬拓矢二冠
7月1、2日:七番勝負第1局〇
7月13、14日:七番勝負第2局〇
8月4、5日:七番勝負第3局〇
8月19、20日:七番勝負第4局〇
棋聖戦に続き、またしても永瀬二冠との対決になった挑戦者決定戦に勝利し、王位戦でも挑戦者になった藤井七段。第2局までは棋聖戦と並行してタイトル戦を戦っていました。第2局を大逆転で制して波に乗ったのか、一気の4連勝で二冠目を獲得。18歳1カ月での複数タイトル保持は、羽生善治九段が持つ21歳11カ月を大幅に更新する快挙でした。また規定により八段に昇段し、こちらも加藤一二三九段の持つ18歳3カ月を更新する最年少八段記録です。
2つのタイトル戦を戦い終えた藤井二冠は、「(記録は)意識しなかったが、棋聖戦、王位戦の2つのタイトル戦に出ることができて、結果を残せたのは収穫だった。この経験を生かして頑張っていきたい」と冷静に振り返りました。
その他の活躍
史上初! 竜王戦4期連続ランキング戦優勝
6月20日:第33期竜王戦ランキング戦3組決勝、杉本昌隆八段戦
3組決勝という大舞台で師弟対決が実現しました。師匠の杉本八段に勝利した藤井七段は、ランキング戦20連勝で6組から3組まで4期連続優勝という記録を打ち立てました。しかし、決勝トーナメントでは初戦で丸山忠久九段に敗れてしまいました。
最年少優勝! 第28期銀河戦
12月12日(放映日):第28期銀河戦決勝、糸谷哲郎八段戦
決勝トーナメントで増田康宏六段、永瀬二冠、木村九段を破って決勝に進出した藤井二冠は、決勝でも糸谷八段を破って優勝。3度目の棋戦優勝達成となりました。ちなみに増田六段、永瀬王座は第3回AbemaTVトーナメントのチームメイトでした。
2020年度ここまでの藤井二冠全成績
34勝8敗、勝率0.810
※テレビ棋戦は放映日。2日制対局は2日目
04/03 竜王戦3組 千田翔太七段○
04/10 王位戦挑決リーグ白組 菅井竜也八段○
06/02 棋聖戦決勝トーナメント 佐藤天彦九段○
06/04 棋聖戦挑決 永瀬拓矢二冠○
06/08 棋聖戦五番勝負第1局 渡辺明棋聖○
06/10 王座戦2次予選 大橋貴洸六段●
06/13 王位戦挑決リーグ白組 阿部健治郎七段○
06/20 竜王戦3組決勝 杉本昌隆八段○
06/23 王位戦挑決 永瀬拓矢二冠○
06/25 B級2組 佐々木勇気七段○
06/28 棋聖戦五番勝負第2局 渡辺明棋聖○
07/02 王位戦七番勝負第1局 木村一基王位○
07/06 B級2組 橋本崇載八段○
07/09 棋聖戦五番勝負第3局 渡辺明棋聖●
07/14 王位戦七番勝負第2局 木村一基王位○
07/16 棋聖戦五番勝負第4局 渡辺明三冠○
07/18 JT将棋日本シリーズ 菅井竜也八段○
07/24 竜王戦決勝トーナメント 丸山忠久九段●
07/29 B級2組 鈴木大介九段○
08/02 NHK杯本戦 塚田泰明九段○
08/05 王位戦七番勝負第3局 木村一基王位○
08/20 王位戦七番勝負第4局 木村一基王位○
09/01 銀河戦本戦C 稲葉陽八段○
09/09 B級2組 谷川浩司九段○
09/12 JT将棋日本シリーズ 豊島将之竜王●
09/22 王将戦挑決リーグ 羽生善治九段●
09/29 銀河戦本戦C 羽生善治九段○
10/05 王将戦挑決リーグ 豊島将之竜王●
10/21 B級2組 村山慈明七段○
10/26 王将戦挑決リーグ 永瀬拓矢王座●
10/27 銀河戦決勝トーナメント 増田康宏六段○
10/29 王将戦挑決リーグ 佐藤天彦九段○
11/02 王将戦挑決リーグ 広瀬章人八段○
11/11 B級2組 北浜健介八段○
11/20 王将戦挑決リーグ 木村一基九段○
11/22 NHK杯本戦 木村一基九段●
11/24 銀河戦決勝トーナメント 永瀬拓矢二冠○
12/03 叡王戦八段戦 長沼洋八段○
12/03 叡王戦八段戦 杉本昌隆八段○
12/10 銀河戦決勝トーナメント 木村一基九段○
12/12 銀河戦決勝 糸谷哲郎八段○
12/16 B級2組 野月浩貴八段○
今年も大活躍だった藤井聡太二冠