2020.10.26
『詰将棋パラダイス 年間セット2009』の推しポイントを會場が紹介!
田島秀男氏の幻の超長編や、埋もれていた大作の解説、祝賀詰など、見どころ満載の2009年の詰パラをご紹介
詰将棋パラダイスのバックナンバーがほしい、という声にお応えして、電子版詰パラ年間セットが順次発売になります。今月末の2009年版を皮切りに、2010年、2011年……と順次発売していき、最終的には10年間の詰将棋パラダイスを気軽に持ち歩いてどこでも読めるようになる予定です。
『詰将棋パラダイス 年間セット2009』の商品ページはこちら
まずは第一弾となる2009年の詰将棋パラダイスの推しポイントを挙げていきましょう。
① 田島秀男氏の幻の超長編「立方体」が発表!(4月号)
本作、不詰だったので解答発表がなされなかったのですが、ふつう不詰作や余詰作でも「やりたかったことはこういうことかな」ということはわかるもの。しかし本作では、猛者たちがよってたかってつついても構造すら見えてこなかったという伝説が残されています。「立方体」は何を目指したものだったのか。詰将棋界隈ではいまだに取りざたされる話題のひとつです。皆様も挑戦してみてはいかがでしょうか?
② 超長編「アトランティス」の結果発表!(4月号)
2008年12月号に発表された「アトランティス」(中村宜幹・芝勇輝合作)の結果発表が掲載されています。初入選ながら900手超えの作品を発表した二人。残念ながら先行作があり、ほろ苦いデビューとなりましたが、その解答発表は超長編詰将棋の歴史を追える記述となっています。この発表がきっかけとなって、不完全だった先行作に再びスポットが当たるなど、詰将棋界にとってさまざまな点で価値のあった作品であることは間違いありません。
③ 橋本孝治氏による『「古時計」「古時計Ⅱ」の研究』(8月号)
「アトランティス」の発表を受けて、その趣向の先行作であり、かつ不完全であったために十分な解説が行われてこなかった作品「古時計」と「古時計Ⅱ」の詳細な研究、解説が掲載されました。執筆者はミクロコスモスを生み出した作家として有名な橋本孝治氏。本稿中では、両作の修正案も提示されているなど、必読です。
そのほか、斜め読みしていて目に留まった作品を挙げてみます。
推理将棋 はてるま氏作(2月号)
情報をもとに、実戦初形からの手順を推理する「推理将棋」と呼ばれるパズル。後手は玉しか動かしていないのに、先手玉が詰む手順とは? 初期の傑作のひとつです。
山田康平氏作 渡辺竜王祝賀詰(2月号)
初形が「ワタナベ」と「リューオー」になっている詰将棋です。もちろん意味もなく配置されているわけではなく、きっちりさばけます。
「海雪」岡村孝雄氏作(3月号)
歩とと金だけのいわゆる「豆腐図式」から緻密な横追い趣向が楽しめる作品。これもきっちりさばけて煙に準ずる詰上がり4枚になります。なお、豆腐図式は使用駒19枚から3枚に減らして煙の詰上がりにすることは不可能であることが、本作の作者である岡村氏の研究により確かめられています。
「里見先生へ」菅野哲郎氏作(4月号)
初形は「カ」。詰め上げると「ナ」の字が浮かび上がります。見事なもの。
こんな感じで見どころたっぷりの詰将棋パラダイス誌。この機会にゆっくり読み返してみるのはいかがでしょうか。