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羽生善治九段が相手の攻めの間隙を縫って逆転勝利! 王将リーグ2連勝

意欲的な新作戦を採用するも苦戦に陥った羽生九段。粘り強く指して一瞬のチャンスをものにする

渡辺明王将(名人・棋王)への挑戦権を争う、第70期王将戦挑戦者決定リーグ(主催:スポーツニッポン新聞社・毎日新聞社)の▲羽生善治九段(1勝0敗)-△佐藤天彦九段(0勝2敗)戦が10月14日に東京・将棋会館で行われました。結果は175手で羽生九段の勝利。成績を2勝0敗として、豊島将之竜王と並んで首位に立っています。

先手の羽生九段は角換わりの将棋から、意欲的な作戦を採ります。従来の定跡では成立しないと見られていた作戦です。この手法は本局の約1週間前の、順位戦B級1組▲永瀬拓矢王座-△郷田真隆九段戦で永瀬王座が採用したもの。新しい形をすぐに取り入れる柔軟な姿勢が、50歳になっても第一線で活躍し続ける秘訣なのでしょう。

序盤早々に両者とも交換したばかりの角を盤上に据えます。佐藤九段は角を3三に設置。7、8筋ににらみを利かせます。一方の羽生九段は5六に据え、相手の飛車の自由を奪おうとします。

中盤戦に入ると、大駒を生かした空中戦が展開されました。大駒を打っては切り、また打っては駒交換を行うという大立ち回り。王手飛車がかかるなど、華々しい戦いから紆余曲折を経て優位に立ったのは佐藤九段でした。飛車角を竜と馬にし、竜は攻め、馬は守りの要所に配置することに成功した佐藤九段に対し、羽生九段は飛車を桂と刺し違えなければならない苦境に立たされます。

しかしここで簡単に崩れないのが羽生九段。玉の守りを金銀6枚で固めて攻め潰されないようにしつつも、じわじわと攻め駒を増やして相手への反撃の種をまいていきます。

そして羽生九段の頑張りがついに実る時がやってきました。竜・飛車・馬に左辺から攻められ、羽生九段が右辺への玉の退路を確保したのが141手目。142手目に佐藤九段は攻めに厚みを加えるためにと金を作りましたが、これがわずかな緩手でした。

一瞬しかないチャンスが羽生九段に到来します。すでに長いこと一分将棋で指し続けている羽生九段でしたが、これを見逃しません。たった1球の失投を見逃さずに、反撃に転じます。敵陣深くに打ち下ろした▲4一角が逆転の手ごたえを感じさせる一手でした。この手で攻守逆転。佐藤九段の玉は露出し、あっという間に必至がかかりました。

受けなしとなった佐藤玉。あとは羽生玉が詰むかどうかです。佐藤九段は王手ラッシュで迫りましたが、逆王手の筋があり、ギリギリ届きませんでした。ついに捕まらないことが明らかになった175手目を見て佐藤九段が投了。羽生九段が逆転勝利を収めました。

羽生九段は初戦の藤井聡太二冠戦に続いての勝利で、2連勝。挑戦権獲得へ一歩前進しました。敗れた佐藤九段は3連敗。1勝が遠い状況が続きます。

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まさに魔法のような逆転劇を魅せた羽生九段(写真は王将リーグ初戦のもの。提供日本将棋連盟)


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