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藤井聡太二冠インタビュー 初戴冠となった棋聖戦を語る

最年少挑戦と最年少タイトル獲得の2つの記録を作った第91期ヒューリック杯棋聖戦を振り返る

この夏、将棋界の歴史をまたしても塗り替えた藤井聡太二冠。第91期ヒューリック杯棋聖戦では、最年少挑戦と最年少タイトル獲得の記録を更新し、第61期王位戦では最年少複数冠保持の記録を作りました。

初タイトルとなった棋聖獲得を藤井二冠はどう振り返るのか。王位戦真っただ中の8月1日に行われたインタビューをお届けします。
(本原稿は、9月2日発売のムック『写真で追う藤井聡太 最年少二冠までの軌跡』『高校生二冠 藤井聡太 ―完全収録! 第61期王位戦、第91期ヒューリック杯棋聖戦―』、9月3日発売『将棋世界10月号』(いずれも日本将棋連盟発行)より一部を抜粋し再編集したものです)

対局中断期間の準備と挑決

――棋聖戦も王位戦も挑戦まであと2勝というところで、藤井さんの対局も約2カ月止まりました。どんな気持ちでしたか
藤井「状況が状況でしたし、心の準備はできていたので驚きはありませんでした。与えられた条件の中で頑張るつもりでした」

――最年少挑戦の記録については
藤井「もともと意識していませんでしたし、詳しい条件も知りませんでした」

――自粛期間中はどう過ごしましたか
藤井「じっくり自分の将棋を見直しました。クセを見直し、序盤を調べました。次の対局までこれだけ時間を取れることはなかなかありませんから、じっくり課題に取り組めました」

――ネット将棋も指しましたか
藤井「対面では指しませんでしたが、ネットでは永瀬さん(拓矢二冠)と25局指しました。成績はカウントしていません(笑)」

――棋聖戦の日程発表を受けての心境は
藤井「準決勝と挑決の間が中1日で、そこはハードな日程だなと」

――挑戦者になれば、最年少挑戦の記録が誕生することになりました
藤井「挑決を迎えるときには記録のことは知っていました。それより相手が永瀬さんなので、内容的にしっかりついていくことが大事かなと思っていました。研究会で永瀬さんにはいつも教わっていますが、公式戦では初めてなので、楽しみでした」

――挑戦者になった瞬間は
藤井「際どい将棋だったので、感慨にひたる余裕はありませんでした。もちろんうれしかったですが、第1局が目前に迫っていますから、しっかり準備をすることのほうが大事だと思いました」

渡辺棋聖との番勝負

――第1局はスーツで対局されました
藤井「日程を見て、なんとなく第2局から和服を着るイメージを持ちました」

――渡辺明棋聖の印象は
藤井「渡辺先生は戦略家で、相居飛車でもいろいろ指されるので、後手になったときの作戦は考えました」

――自粛期間中に渡辺将棋を研究しましたか
藤井「それはありません(笑)」

――初めてのタイトル戦はいつもと違いましたか
藤井「前夜祭や検分などのイベントもなかったですし、違ったのは立ち合いの先生や関係者の方たちがいらしたことくらいでしょうか。ただ、この第1局で流れが決まると思いましたし、最初が大事だとは思っていました」

――結果は見事に勝利。第1局の勝利にはどんな意味がありましたか
藤井「ストレートで負けてしまうと、見ていただいている方や関係者の方に申し訳ないと思っていたので、ほっとしました」

――第3局で決めたいという気持ちはありましたか
藤井「第3局は先手番ですし、第4局は王位戦から連戦になるので、ここで決めるのが理想的だとは思いました」

――第3局に敗れて迎えた第4局。どう思っていましたか
藤井「第3局に負けた時点で五分だなと」

――渡辺棋聖が投了した瞬間、何を思いましたか
藤井「最後、自玉が詰まないかどうか不安だったので、タイトルを取ったという実感はあまりありませんでした。結果としては非常に大きな勝利で、徐々にうれしさが出てきました」

――大勢の報道陣が押し寄せて大ニュースになりました
藤井「自分としてはそんなにすごいことをしたという実感はないのですが、報道をきっかけにして将棋に関心を持っていただく方が増えたらうれしいです」

――渡辺先生と4局戦って、どんな印象を受けましたか
藤井「シリーズを通じて何度か気づかない好手を指されて、非常に勉強になりました。あと、タイトル戦は多くの方に支えられているんだということを強く感じました」

タイトル獲得後とこれから

――棋聖戦と王位戦を一緒に戦ったわけですが、作戦はいくつ用意しましたか
藤井「ストックを用意するのではなく、その対局ごとに考えています。一局終わったら、次を考えます」

――タイトル獲得後に師匠とは何か話しましたか
藤井「師匠も現地に来ていたので、終わってからすぐに、おめでとうと声をかけられました。それから、竜王戦も頑張れ、と言われたんですが、あっさり負けてしまったので、そちらは残念でした」

――それまで最年少記録を持っていた屋敷伸之九段は「注目されて、タイトルを取ってからが大変だった」とおっしゃっていました。そこはどう考えていますか
藤井「自分が対局することは変わらないので、いつも通りにやっていければいいと思います」

――次の目標は
藤井「引き続き強くなることを目指したいです」

――これから先、どのくらい強くなれると思っていますか
藤井「強くなれる余地はたくさんあると思っていますので、すべては自分次第です」

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将棋界の歴史を塗り替え続ける藤井聡太二冠


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