丸山忠久九段が「伝家の宝刀」一手損角換わりで羽生善治九段を破る 第33期竜王戦挑戦者決定三番勝負第1局|将棋情報局

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丸山忠久九段が「伝家の宝刀」一手損角換わりで羽生善治九段を破る 第33期竜王戦挑戦者決定三番勝負第1局

丸山九段は4度目の挑戦に大きく近づく勝利。緩急自在の指し回しが光る

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豊島将之竜王への挑戦権を争う、第33期竜王戦(主催:読売新聞社)挑戦者決定三番勝負第1局、▲羽生善治九段-△丸山忠久九段戦が8月17日に東京・将棋会館で行われました。同級生対決の第一ラウンドは76手で丸山九段が勝利。挑戦権獲得まであと1勝としています。

振り駒で後手番となった丸山九段は、自身のエース戦法である一手損角換わりを採用。今期の竜王戦決勝トーナメントでは藤井聡太棋聖もこの戦法で破っています。居玉のまま早繰り銀で速攻を仕掛けた羽生九段に対し、丸山九段は飛車を4筋に転回して応戦。開始早々に駒が複数箇所でぶつかる激しい展開になりました。

一手一手時間を使って指し進める羽生九段。昼食休憩明けに着手した31手目までで持ち時間5時間の内1時間43分を消費しています。対する丸山九段はなんと消費時間0分。32手目の△5五角に1分使い、初めて持ち時間を消費しました。得意戦法だけに深い事前研究をうかがわせます。

丸山九段の△5五角を目標に、羽生九段は▲4六歩、▲5六歩、▲6六歩と歩を次々に突いて局面はより激しさを増しました。ここで一気に攻め合うのか、それとも自陣に手を入れるのか。作戦の岐路を迎えた丸山九段はじっくり腰を落として長考に入りました。ここまで時間を使わずに飛ばしてきただけに、持ち時間は潤沢にあります。たっぷり91分考えた末、△6二玉と上がって自陣の銀にひもを付けました。

本局一貫して積極的な方針の羽生九段は居玉すら解消せずに、守りの銀を攻めに活用。丸山九段も強く応戦して一直線の攻め合いに。羽生九段は角銀交換の駒得の戦果を上げた一方、丸山九段も羽生玉の頭にと金を作って形勢は難解です。

そのままの勢いで終盤戦に突入。羽生九段は角と金銀を交換しながら飛車を敵陣に成り込みます。丸山九段はと金を生かして羽生玉を丸裸に。さらにたたきの歩を入れて、そのまま攻め続けるのかと思いきや、ここで緩急をつけた好手を放ちました。それが自陣を引き締める△6二金。相手の竜の横からの攻めに備えつつ、次に角取りを見せて相手を焦らせる一手です。

一方自陣に手の入れようのない羽生九段は、銀を打ち込んで攻めを続行。このタイミングで丸山九段も反撃を再開。まず下から角で王手をし、上に逃げた羽生玉を、5四の銀を△4五銀と繰り出して包囲します。この銀は先ほど羽生九段が打った銀の当たりになっていて、それをかわしつつ寄せに働かせる味のいい一着。この手で丸山九段の優位が明らかになりました。

受けのない羽生九段は、相手の飛車取りに竜を活用して攻めに活路を見出そうとします。飛車を逃がしていてはたちまち混戦ですが、そんなぬるい選択を丸山九段がするはずもありません。ズバッと狙われている飛車を切って銀を入手し、その銀を王手で打って勝負あり。羽生玉は即詰みのため、羽生九段はここで投了となりました。

三番勝負の初戦という大きな勝負を制した丸山九段。あと1勝で2016年度の第29期以来3度目の七番勝負進出です。タイトル獲得100期を目指す羽生九段はあとがなくなり、正念場を迎えています。注目の第2局は8月25日に行われる予定です。


見事な切れ味の一手損角換わりで勝利した丸山九段(提供:日本将棋連盟)

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