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前名人の佐藤天彦九段がA級順位戦開幕2連勝! 羽生善治九段を破る

前期まさかの負け越しとなった佐藤九段。今期はスタートダッシュを決め、完全復調か

第79期順位戦A級(主催:毎日新聞社・朝日新聞社)の2回戦、▲羽生善治九段-△佐藤天彦九段戦が7月28日に東京・将棋会館で行われました。両者開幕戦を勝利して迎えた一局を制したのは佐藤九段でした。

本局は角換わりの最新形となりました。手順は違いますが、今期棋聖戦の第3局、▲藤井聡太七段-△渡辺明棋聖戦(肩書は当時)と同一局面が出現し、先手の羽生九段は藤井棋聖と同じ攻め筋を採用。タイトル戦やA級順位戦といった大舞台で同じ形が現れるところに、簡単に結論が出ない将棋の奥深さを感じます。

佐藤九段は渡辺二冠とは異なる受けの順を選択したため、棋聖戦第3局からは離れましたが、まだ前例のある展開。未知の局面が出現したのは、実に70手目のことでした。

そこからは両者の駒が全軍躍動する大激戦。佐藤九段は玉を受けの最前線である三段目に繰り出し、羽生九段の攻めを顔面受けした後に、今度は守りの金を攻めに活用します。一方の羽生九段も自陣の駒を攻めに活用。守りの金を相手の金にぶつけていき、攻め駒を蓄えます。

最終盤、佐藤九段は羽生玉の頭上に銀を設置しました。次に金駒を入手して、打ち込む手が厳しい狙いです。しかし、ここで手番が羽生九段に移るため、相手の猛攻を受けることになります。当然、羽生九段はここで攻めに転じます。まず銀取りに歩を打ち、次いで王手で歩を打ちました。受け間違えが敗北に直結する場面でしたが、佐藤九段は正確に応じました。

これ以上の攻めの継続は難しいとみた羽生九段は、自玉の脅威となっている桂を外しました。もちろん手にした桂を攻めに使う狙いもあります。しかし、ここで大事な手番が今度は佐藤九段に移りました。佐藤九段は24分の残り時間のうち、16分を使って銀を取るための飛車切りを決行。飛車を渡す攻めなので、もう後戻りはできません。羽生九段は先ほど入手した桂を打ってから、飛車を取ります。佐藤九段は銀を羽生玉頭に打ち込み、羽生玉を受けなしに追い込みました。

受けのない羽生九段が勝つためには佐藤玉を詰ますしかありません。金を打ち込んで攻めていきますが、際どく詰みがなかったようです。王手はまだまだ続く局面なものの、羽生九段は5分考えたのち、次の手を指さずに投了を告げました。

118手で激戦を制した佐藤九段は開幕2連勝。名人を失って再スタートとなった前期は、開幕からつまずき、まさかの4勝5敗で負け越しとなってしまいました。今期は対照的な好発進を決め、3期獲得した名人奪還に向け視界良好です。

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名人3連覇の実力者佐藤天彦九段。復位に向け好発進


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