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永瀬叡王が一歩リード、丸山九段が竜王戦で藤井棋聖を破る! 連休中の対局振り返り

永瀬拓矢叡王が勝利した叡王戦第5局、丸山忠久九段が藤井聡太棋聖を破った竜王戦決勝トーナメントなど

7月23日の海の日、24日のスポーツの日と土日を合わせての4連休、皆さんいかがお過ごしでしたでしょうか。カレンダーでは休みでも、この間、将棋盤の上では熱い戦いが繰り広げられていました。連休中に指された主な対局を振り返りたいと思います。

【23日】
第5期叡王戦七番勝負第5局
勝▲永瀬拓矢叡王-△豊島将之竜王・名人

ここまで持将棋2回、千日手1回、手数が200手を超える対局がなんと3局と、なかなか決着のつかない今期の叡王戦。第5局も長手数になるのでは……と期待?した方も多いのではないでしょうか。

本局は永瀬叡王が相掛かりの将棋で序盤早々に工夫を凝らしましたが、豊島竜王・名人がうまく対応してリードを奪います。そこから簡単に崩れないのが永瀬叡王。相手の飛車を封じ込めて、自陣の桂の活用を間に合わせます。次第に形勢は難しくなり、最後に抜け出したのは永瀬叡王でした。これまで飛車を封じていた桂を成り捨てたのが寄せの決め手。一気に豊島玉を受けなしに追い込み、113手で勝利を収めました。

これで番勝負は永瀬叡王の2勝1敗に。本シリーズで初めて永瀬叡王がリードしました。第6局は8月1日に行われます。

第33期竜王戦決勝トーナメント
勝▲久保利明九段-△佐々木勇気七段

1組3位の久保九段と2組優勝の佐々木七段の対決。両者は本局含め挑戦まで4勝が必要です。

先手の久保九段の四間飛車に対し、佐々木七段はミレニアム囲いで応戦。角のにらみを生かして優位に立ったのは佐々木七段。角と桂の交換で大きな駒得を果たします。しかし、久保九段はミレニアム囲いの上部に嫌味を付けて相手に楽をさせません。佐々木七段の手に乗じて守りの金を攻めに参加させ、激しい守り駒のはがし合いに突入。この激戦を制したのは、久保九段でした。最後は銀冠の守り駒がすべてなくなり、玉が丸裸になったものの、際どく佐々木七段の攻めを振り切って、相手玉を詰まし上げました。

久保九段は挑戦者決定三番勝負進出を懸けて、次戦で丸山忠久九段-佐藤和俊七段戦の勝者と対戦します。

 

【24日】
第33期竜王戦決勝トーナメント
千日手▲丸山忠久九段-△藤井聡太棋聖
▲藤井聡太棋聖-勝△丸山忠久九段

2組2位の丸山九段と3組優勝の藤井棋聖の対決。両者は挑戦まで5勝が必要なポジションです。

千日手局は丸山九段の角換わり棒銀という将棋でした。互いに角を打ち合い、その角の利きで相手の攻めを牽制。丸山九段は銀を、藤井棋聖は角を上下に動かして局面が膠着状態になって千日手が成立しました。指し直し局は千日手局の持ち時間を引き継いで行われます。指し直し局開始時点で、藤井棋聖の残り時間は約1時間半に対し、丸山九段は約4時間と、かなりの差がついていました。

指し直し局は後手の丸山九段が得意の一手損角換わりを採用します。中盤に丸山九段の打った角が大活躍。攻めの主軸となり、左右から藤井陣に攻撃を仕掛けました。丸山九段の本格的な攻めが始まった時点で、藤井棋聖の持ち時間はわずか2分。かたや丸山九段は1時間50分残していました。流石の藤井棋聖をもってしても、ほとんど時間がない中で最善手を続けることは難しかったようです。

形勢ははっきり丸山九段が優勢で迎えた最終盤。1分将棋の中、藤井棋聖が最後のわなを仕掛けました。丸山玉に王手をかけて、逃げ場を問います。ここで丸山九段は25分の持ち時間から10分を投じ、なんとあえて王手飛車のかかる位置に玉を逃がしました。ところがこれが唯一の正解。他の逃げ場所では急所に利いている攻め駒を取られてしまい、形勢が混沌としてしまっていたようです。「プロの将棋では王手飛車をかけた方が負ける」とはよく言われますが、本局もその例から漏れませんでした。

その後は最後の難所を乗り切った丸山九段の寄せを見るばかり。藤井棋聖でも粘ることはできずに、116手で丸山九段の勝利となりました。丸山九段は次戦で佐藤七段と対戦します。

藤井棋聖は来期は2組から再び挑戦を目指すことになります。また、この敗戦で羽生善治九段が持つ、竜王最年少獲得記録の19歳3カ月を抜くことはできなくなりました。

 

【25日】
第79期順位戦A級
▲三浦弘行九段-勝△稲葉陽八段

まだ第78期名人戦が行われている最中ですが、次期名人挑戦を懸けた戦いも進行中。本局は順位7位で0勝1敗の三浦九段と、順位8位で0勝0敗の稲葉八段の対戦です。

横歩取りの将棋から、リードを奪ったのは三浦九段。駒得を生かして稲葉八段の攻めを受け止め、優位を築きました。三浦玉は横からの攻めに対しては鉄壁。しかし、上部に弱点があり、そこを稲葉八段は的確に突きます。正しく受け切れば三浦九段の勝ちという場面で、三浦九段に痛恨の失着が出てしまいました。この手を境に形勢が逆転。稲葉八段の流れるような攻めが決まり、146手で三浦九段の投了となりました。

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2勝1敗で今シリーズ初めてリードする展開になった永瀬叡王(写真は第4局のもの)【提供:日本将棋連盟】


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