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高野智史五段が6組優勝! 第33期竜王戦6組ランキング戦

星野良生四段を破って自身初の決勝トーナメント進出を果たす

第33期竜王戦6組ランキング戦決勝(主催:読売新聞社)が6月16日に東京・将棋会館で行われました。高野智史五段と星野良生四段の対決は、117手で高野五段が勝利。決勝トーナメントに進出となりました。

振り駒で高野五段が先手になり、角換わり模様で進行しますが、星野四段が変化しました。角換わりの一般的な陣形は△3三銀・3二金型ですが、星野四段は△3三金型を採用。この形は通常形よりも守りに手数を費やさなくて済むため、攻撃を素早く行えるというメリットがあります。星野四段は、現在でも大流行しているゴキゲン中飛車対策である超速を考案し、升田幸三賞を受賞した作戦家。星野四段らしく工夫を凝らした序盤です。

これに対し高野五段は序盤から大長考。1手に昼食休憩(40分)をはさんで1時間58分考えて、相手の攻めを呼び込みました。それに応じて星野四段が仕掛け、激しい戦いが始まりました。星野四段は銀交換のあとに飛車角交換も行い、打った角を相手の桂頭をにらむ好位置に引き付けます。高野五段は桂頭を受けるために銀を自陣に投入して簡単には崩れません。しかし、せっかく手にした銀を受けのためだけに手放さざるを得なくなってしまったのはマイナス。星野四段がわずかにリードを奪いました。

高野五段は飛車を打って竜を作ります。それに対し星野四段は角を打って対抗。盤上の角2枚が絶好の働きを見せ、竜を働かせません。やむを得ず竜を引き揚げますが、大駒の働きでも差が出てさらに後手好調です。

しかし、ここで高野五段が勝負手を放ちました。金をあえて飛車金両取りの銀の割打ちがかかる場所へ移動させたのです。この手が成立すれば、玉に金を近づけられ、守りを固めることができます。銀を打って両取りをかけるのか、それとも別の手を指すのか。19分考えた星野四段は銀を打たずに角を活用し、香を取りに向かいました。相手に誘われている筋に入るのは危ないという判断だったのでしょうが、これが良くなかったようです。勝負手が通り、一瞬の危機を脱した高野五段の陣形は、見違えるほど固く、手厚くなりました。香損となったものの、高野玉は金銀4枚と自陣飛車に守られて鉄壁。ここで逆転して高野五段が優勢になりました。

星野四段は遅ればせながら高野玉の玉頭から攻めかかりますが、もはやびくともしません。守りの駒をはがされる間にと金を2枚作って星野玉へと迫ります。最後は自陣飛車も攻めに活用して勝負あり。高野五段が117手で押し切りました。投了図では高野玉は竜と馬に迫られていましたが、玉の周りに金銀3枚と飛車が健在でした。玉を固める勝負手が功を奏した一局と言えるでしょう。

この勝利で高野五段は6組優勝を決め、決勝トーナメントに進出しました。決勝トーナメントでは挑戦者決定戦に進出するために5勝が必要となる長丁場ですが、竜王戦ドリームを実現できるでしょうか。また、6月22日には1組5位決定戦の木村一基王位-三浦弘行九段戦が行われます。もし、木村王位が勝つと、決勝トーナメントでは高野五段と同じ山に入ることになります。まだまだ両者道のりは長いですが、もしかしたら公式戦初の師弟戦がこの竜王戦で実現するかもしれません。

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6組優勝を果たした高野智史五段(写真は新人王戦三番勝負第1局のもの)


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