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A級順位戦8回戦が終了 渡辺明三冠が全勝継続、久保利明九段は降級

降級枠はあと1つ。残留を懸けて3人が争う

1月29日に東西の将棋会館で第78期A級順位戦8回戦(主催:朝日新聞社、毎日新聞社)の5対局が一斉に行われました。すでに7連勝で、豊島名人への挑戦を決めている渡辺明三冠は8勝目をあげました。また、久保利明九段は最終局を残して降級が決まってしまいました。

7回戦終了時点での成績は以下の通りです。(かっこ付き数字は順位)

7勝0敗:渡辺明三冠(9)
4勝3敗:広瀬章人八段(3)、佐藤康光九段(5)、三浦弘行九段(7)
3勝4敗:佐藤天彦九段(1)、羽生善治九段(2)、糸谷哲郎八段(4)、稲葉陽八段(8)、木村一基王位(10)
1勝6敗:久保利明九段(6)

渡辺三冠が独走する一方、4勝と3勝には8人が固まっている団子状態。残留に向けて1勝の価値が非常に高い展開です。

8回戦で一番早く決着したのが、▲渡辺三冠-△糸谷八段戦。渡辺三冠が糸谷八段得意の阪田流向かい飛車を真っ向から迎え撃ち、21時44分に117手で勝利を収めました。

これで渡辺三冠は8連勝。中原誠十六世名人、森内俊之九段、羽生善治九段に続く、史上4人目のA級順位戦全勝達成まであと1つとなりました。また、前期B級1組から継続中の、順位戦での連勝を20にのばしています。これは歴代4位タイの記録です。

次に終わったのが、▲広瀬八段-△佐藤天九段戦。前名人の佐藤天九段は名人3期獲得の原動力となった横歩取りを採用するも、22時31分に81手で敗北。横歩取りの後手番勝率は近年低迷しています。かつてのドル箱戦法であまり勝ち星をあげられなくなってしまったのが、佐藤天九段の不振の一因と言えそうです。

▲稲葉八段-△佐藤康九段戦は23時37分に決着。変則的な角換わりから角を再び両者が打ち合い、矢倉のような戦いになった本局は、127手で稲葉八段の勝ち。稲葉八段が4勝目をあげたため、この時点で久保九段の降級が確定しました。これは久保九段が仮に残り2局を勝って3勝5敗になっても、現時点で自身より順位の低い3勝者が木村王位以外いないためです。

3勝4敗同士の対決で、残留争いの大一番となった▲羽生九段-△木村王位戦は、23時52分に羽生九段の勝利で決着。羽生九段は残留を決めた一方、順位が最も悪い木村王位は厳しい状況で最終戦を迎えることになりました。

最後まで残っていた▲久保九段-△三浦九段戦は、日付の変わった0時42分に久保九段が大逆転で勝利を収めました。終盤、苦しい形勢の久保九段は必死に粘ります。その粘りに手を焼いた三浦九段、最後の最後に痛恨の失着を指してしまい、まさかのとん死を喫してしまいました。

執念で勝利をつかみ取った久保九段でしたが、前述の通り残留のライバルだった稲葉八段がすでに勝っていたため、B級1組への降級となりました。

8回戦の結果、降級の可能性があるのは3勝5敗の佐藤天九段、糸谷八段、木村王位の3人です。佐藤天九段は稲葉八段と、糸谷八段は久保九段と、木村王位は広瀬八段と対戦します。それぞれの残留条件は以下の通りです。

佐藤天九段:自身が勝つ。もしくは糸谷八段か木村王位のどちらかが負ける
糸谷八段:自身が勝つ。もしくは木村王位が負ける
木村王位:自身が勝ったうえで、佐藤天九段か糸谷八段のどちらかが負ける

つまり佐藤天九段と糸谷八段は自力、木村王位は他力で最終戦を迎えることになりました。

三者の残留争いと、渡辺三冠の全勝達成なるかが注目されるA級順位戦最終局は、2月27日に静岡県静岡市「浮月楼」で一斉に行われます。

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8回戦終了時点での成績。残留争いは3人に絞られた


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