木村一基九段が追い付く 第60期王位戦七番勝負第4局|将棋情報局

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木村一基九段が追い付く 第60期王位戦七番勝負第4局

285手の死闘! 玉が捕まらないときの決着方法とは?

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豊島将之王位に木村一基九段が挑戦している、第60期王位戦七番勝負第4局が8月20、21日に神戸市北区有馬温泉の「中の坊瑞苑」で行われました。結果は木村九段が285手で勝利し、シリーズ成績を2勝2敗のタイとしました。

対局は木村九段の先手で始まり、双方が飛車先の歩をずんずんと突いていく「相掛かり」戦法に。角の交換が何度も起こる目まぐるしい戦いの中、着実にポイントを上げていった木村九段がリードして終盤戦に突入しました。

しかしそこから豊島王位が粘ります。木村九段の攻めを受け流し、なんと玉が木村陣(対局開始時の歩が並んでいるエリア以降)に侵入しました。これを将棋用語で「入玉」と言います。将棋の駒は前には進めるが後ろには進めない、もしくは進みにくい駒が多く、また、敵陣に入ると駒は「成る」ことでパワーアップするので、玉が懐に入られてしまうと捕まえにくくなります。実際、本局でも豊島玉は捕まらなくなりました。木村九段は玉を詰ますことを諦め、自らも玉を敵陣に侵入させました。

さて、このようにお互いの玉が敵陣に入り、相手の玉を詰ますのを諦めた場合にはどのように決着するのでしょうか? ずっと指し続けるということはなく、玉以外の駒の点数を計算して、その結果で勝敗を決めるのです! 大駒(飛車と角)1枚を5点、その他の駒1枚を1点として、その合計点が双方24点以上なら「持将棋」になります。「持将棋」とは将棋用語で、引き分けという意味です。24点に満たない場合はその対局者は負けになります。

豊島玉が木村陣に侵入したのが150手目、木村玉が豊島陣に侵入したのが231手目でした。豊島王位は24点に足りていなかったので、手段を尽くして駒を取ろうとしましたが、木村九段は丁寧に対応し、余計な駒を取らせません。そしてついに刀折れ矢尽きた豊島王位が285手目を見て投了しました。対局開始が20日9時、対局終了が21日21時12分という、まさに死闘でした。

このシリーズ2連敗で苦しいスタートとなった木村九段でしたが、2連勝で成績をタイに戻し、これで改めて三番勝負となりました。勝ったほうがタイトルに王手を掛ける注目の第5局は8月27、28日に徳島県徳島市「渭水苑」で行われます。


木村一基九段

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