2019.03.12
棋界ナンバー1の振り飛車使い久保九段 藤井七段止める ~第90期ヒューリック杯棋聖戦二次予選~
藤井七段本戦目前の敗戦 & 年度最高勝率に赤信号
タイトル通算7期、関西のトップ棋士久保九段(右)が藤井七段に貫禄を示した
第90期ヒューリック杯棋聖戦二次予選決勝の久保利明九段―藤井聡太七段戦が3月11日、関西将棋会館で行われ、久保九段が勝って本戦進出を決めました。本戦はシード棋士8人と二次予選勝ち抜き者8人の16人によるトーナメントで、優勝者が豊島将之棋聖への挑戦権を獲得します。
久保九段はタイトル戦登場14回、棋王3期、王将4期(合計7期)獲得の実績を持ち、竜王戦ランキング戦、順位戦ともに最高クラスの1組、A級に所属する関西の強豪棋士。飛車を元の位置、あるいはその付近で使う「居飛車」が多いプロ棋界の中で、序盤に飛車を左方面へ動かし、飛車のいた方面に玉の城を築く「振り飛車」使いの第一人者で、その華麗な駒使いから「さばきのアーティスト」、また形勢が悪くなっても容易に倒れない強靭な受けからは「粘りのアーティスト」と、相反する2つの異名を持ちます。今期は1月から2月に掛けて行われた第68期王将戦七番勝負で渡辺明棋王(※現在は二冠)に敗れタイトルを明け渡してしまいましたが、この棋聖戦で挑戦権獲得とタイトル復位を狙います。
敗れた藤井七段には本戦入り、最年少タイトル獲得の期待とともに、中原誠十六世名人が持つ年度最高勝率、47勝8敗[0.8545]更新の期待が懸かっていましたが、この敗戦により42勝8敗[0.840]、1位タイまで5戦全勝、単独1位まで6戦全勝が必要な状況となり、今期が終了する3月末まであと半月しかないことを考えるとほぼ不可能となりました。
それでも今期これまでの勝率[0.840]は、年度記録4部門(勝率、勝数、対局数、連勝)を独占した昨年度に挙げた61勝12敗[0.8356]を上回るもので、2年連続の全棋士中1位をほぼ確定的なものとしています。例年、7割台後半から8割ちょうどあたりで決まることが多く、1位が7割を切った例もある年度勝率部門で、2年連続8割を大きく超える数字を残すとは驚きのひと言。やはり「規格外」であることの証明と言えましょう。今回は関西の先輩に貫禄を示された形となりましたが、久保九段の本戦での戦いぶりとともに、敗れた藤井七段の今後の活躍からも目が離せません。
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