2017.02.10
SECTION-06 サーバの選定
ITインフラの世界が理解できる珠玉の1冊『インフラエンジニアの教科書』から、「SECTION-06 サーバの選定」を紹介します。
SECTION-06 サーバの選定
ITサービスのインフラ構築を考える際、無数にある選択肢の中から適切なサーバを選ぶ作業は一苦労です。サーバ選びのコツとしては、できる限り選択肢を減らした上で、ポイントを絞って吟味することです。
●サーバ要件
サーバスペックを決める場合、必要なハードウェアリソースの使用量を決めた上で、CPU、メモリ、ディスク、NIC(Network Interfae Card)ポート数などを決定します。また、付加要素としてRAID有無、PSU(パワーサプライユニット)冗長化要否、保守の年数、保守レベル、拡張性、物理サイズや重量なども併せて決定していくことになります。
◎サーバ要件を決める要素の例
●サーバスペックの決め方
サーバスペックを厳密に決めようとすると選択肢が非常に多いため、いかに選択肢を絞っていけるかが重要となります。
サーバスペックを決めるには3つの考え方があります。
【1】実際の環境を試験的に構築し、測定結果から判断する。
【2】仮決めしたサーバスペック機器を本番投入し、実際のハードウェアリソース利用状況を測定した上でサーバやサーバのパーツを増減していく。
【3】消去法でスペックを絞り込んでいく。
基幹系と呼ばれるシステムの中核を担うシステムや重要なシステムに場合は、【1】を選択するのがよいでしょう。ただし、この方法は準備に大変な手間と時間がかかります。
オンラインゲームのように、実際にリリースしてみないとアクセス量が判明しない(事前に予想できない)ような場合は、【2】を選択するのがよいでしょう。この場合は機器に余裕があれば、あらかじめ多めの機器を投入し、後で適正規模にスペック調整することになります。保有機器台数に余裕がなくてもベンダーに相談すれば、適正規模が確定するまでは一時的に機器を貸してくれる場合もあります。
ある程度、サービスの性質が特定されている場合は、【3】を選択するのがよいでしょう。たとえば、通常、Webサーバの場合はメモリ以外のハードウェアリソースはあまり消費されないので、メモリだけを多めに搭載し、後は必要最小限のサーバスペックにするといった方法となります。
●スケールアウトとスケールアップ
サーバのキャパシティを向上させるアプローチとして「スケールアウト」と「スケールアップ」があります。
スケールアウトとは、性能が足りなくなったらサーバ台数を増やすことでキャパシティを増やす方法です。たとえば、負荷分散が容易なWebサーバは安い機器を並べ、性能が足りなくなったらさらに台数を増やしていきます。
それに対してスケールアップとは、性能が足りなくなったらメモリ増設など、パーツを追加・交換するか、もしくは上位機種に入れ替えることでサーバ性能を増やす方法です。たとえば、負荷分散が難しいデータベースサーバは1セットだけ用意し、性能が足りなくなったらより高価な機器に入れ替えていくなどの対応を行います。
◎スケールアウトとスケールアップ
●ベンダーを選ぶ
サーバスペックを決めた後、各サーバベンダーに相見積もりを取り、価格やサービスを総合的に加味してベンダーを選定することになります。
参考までに、現在、国内で入手可能なサーバの主要ベンダーは、次の通りです。
●DELL PowerEdgeシリーズ
●NEC Express5800シリーズ
●日本HP ProLiantシリーズ、Integrityシリーズ
●日本IBM xシリーズ、PowerSystemsシリーズなど
●日本オラクル SPARC シリーズ、Sun Serverシリーズ
●日本ユニシス ES7000シリーズ
●日立製作所 HA8000シリーズ
●富士通 PRIMERGYシリーズ、PRIMEQUESTシリーズなど
COLUMN リモートコントロール機能の名称
リモートコントロール機能は、ベンダーによって呼び名が異なります。主要メーカーの呼び名は、次のようになります。
●DELL : Dell Remote Access Controller(DRAC)
●HP : Integrated Lights-Out(iLO)
●IBM : IMM(Integrated Management Module)
●NEC : EXPRESSSCOPEエンジン
●富士通 : リモートマネージメントコントローラ