SECTION-04 選定者としてのインフラエンジニアの側面|Tech Book Zone Manatee

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インフラエンジニアの教科書

SECTION-04 選定者としてのインフラエンジニアの側面

ITインフラの世界が理解できる珠玉の1冊『インフラエンジニアの教科書』から、「SECTION-04 選定者としてのインフラエンジニアの側面」を紹介します。

SECTION-04 選定者としてのインフラエンジニアの側面

 ITインフラを構築するには、さまざまな選定が必要となります。ここでは、そのうち代表的なものを取り上げます。選定の上ではいろいろな選択肢が出ますが、選定というものは概して100%正解という選択肢はなくて、プロジェクトの性質や企業文化、もしくは決裁者の考え方などによって正解が異なることが一般的です。インフラエンジニアとしては、それらのことを加味しつつ、技術者として客観的な理由を積み上げてベストな選択に導いていくことが重要となります。

 

●システム構成

 求められているプロジェクトに対して、どういったシステムをどういった構成でどのくらいの規模か、といったことを検討します。

 たとえば、「メールシステムを構築する」といった一見するとシンプルに見えるプロジェクトでも、図のようにいくらでも構成パターンが想定できます。そして、インフラエンジニアはいくつかの案の中で最適なものを選定することになります。

 

◎最小構成

 

◎冗長化構成

 

◎データ領域分離構成

 

●サーバスペック選定

 購入しようとするサーバのスペックを選定します。

 サーバにはたくさんの選択肢があります。たとえば、サーバパーツの選択肢としてはCPU、メモリ、ディスク、RAID、NIC、パワーサプライユニット冗長化要否、保守の年数、保守レベル、拡張性、物理サイズや重量などがあり、これら1つひとつ決めていくのもインフラエンジニアの重要な役割となります。

 

●ネットワーク構成

 ネットワーク構成を検討する中で、さまざまな決定や選定が必要になります。

  各ラックに何個のスイッチを設置するのか

  各スイッチのキャパシティはどのくらいにするか

  採用するベンダー

  保守年数

  ネットワークインタフェースごとの通信量や冗長化の要否

 

●データベース設計

 データベースの種類や要件を検討します。

 RDBMSの選定(Oracle/SQL Server/MySQL/PostgreSQLなど)

 必要容量算出

 データベーススキーマと物理的なデータ配置の決定

 

●運用体制

 システムをどのように監視・運用していくのかを検討します。

 

運用体制の例

 運用体制の例は、次のようになります。

 障害発生をシステム監視ツールで検知し、障害発生検知時のみ、社員が対応する。

 1次対応はMSPベンダーに委ねる。それで解決しなかった場合だけ、電話などで社員にエスカレーションする。

 別組織を作って24時間365日監視運用体制を構築する。

 

社内での責任範囲

 サービスや技術、システム別に、社内での責任範囲を決定します。

 

◎社内での責任範囲例

著者プロフィール

佐野 裕(著者)
1973年生まれ。神奈川県出身。慶応義塾大学大学院政策・メディア研究科修了後、富士通株式会社でSE職を経て、2000年より現在所属しているLINE株式会社に創業メンバーとして勤務中。趣味はベルギービールや日本酒を飲むことと、韓国語。システム管理者Blogを運用中です。
URL : http://blog.livedoor.jp/sanonosa/