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インフラエンジニアの教科書

SECTION-01 インフラエンジニアの仕事

ITインフラの世界が理解できる珠玉の1冊『インフラエンジニアの教科書』から、「SECTION-01 インフラエンジニアの仕事」を紹介します。

CHAPTER 01 インフラエンジニアの仕事

>>>本章の概要

 日常生活の中で、スーパーマーケットのPOSシステムや電車の切符売場のシステムが停止したら混乱が生じます。PCの世界であればYahoo!やGoogleのようなWebサイトが停止したら非常に不便です。スマートフォンの世界であれば、LINEや通販アプリなどのサーバが停止したら困ってしまいます。このように、ITインフラは生活に密着しているため、それらが使えなくなるとものすごく不便になります。インフラエンジニアはこういった社会のITインフラを管理する仕事です。

 ITインフラはハードウェアとソフトウェアで構成されています。ハードウェアはいつか必ず壊れますし、ソフトウェアはバグが含まれている可能性があります。インフラエンジニアはそういった不完全な要素を組み合わせてITインフラを構築し、ITサービスを常に提供し続けられるよう日々、汗を流しています。

 インフラエンジニアに求められるものは何か? この問いに対してよくいわれるのは技術力と責任感ですが、著者はそれに加えて情報収集力と決断力を加えたいと思います。ITインフラを構築・運用する過程において日々、多くの意思決定が必要になります。これをいかに的確に素早く行えるかが安定的なITインフラを維持する上で、とても重要になります。

 

SECTION-01 インフラエンジニアの仕事

 インフラエンジニアの仕事は、おおよそ「インフラ設計」「インフラ構築」「インフラ運用」の3つのフェーズに分類できます。

 

●インフラ設計

 インフラを作る際は必ずインフラを作る目的があるので、まずはそれをよく理解する必要があります。その上で目的を達成するために必要な機能や性能などを要件としてまとめます。

 要件が決まったら、その要件に合う適切な企画書や設計書を作成する必要があります。どのようなインフラを、どのくらいの費用で、どのくらいの期間で作れるのかを算定する作業となります。この作業はインフラエンジニアが自ら行うこともあれば、ベンダーやコンサルタントに依頼して提案してもらう場合もあります。

企画書や設計書ができたら、しかるべき決裁者に決裁を仰ぐことになります。

 

●インフラ構築

 必要な機器やソフトウェアなどを発注して納品されたら、それらを構築します。インフラ構築作業をインフラエンジニア自ら行う場合もありますし、オペレーターやベンダーに委ねる場合もあります。

 インフラ構築作業を細かく分類すると、機器の運搬、機器の組み立て、機器の取り付け、機器のインストールや設定、動作テスト、そして負荷テストといったものがあります。

 大手企業を顧客に持つSI(システムインテグレーション)業界では、機器の搬入から取り付けといったハードウェア関連の作業はCE(カスタマーエンジニア)が、サーバやストレージの設定はSE(システムエンジニア)が、そしてネットワーク機器の設定はNE(ネットワークエンジニア)が行うことが多いです。それに対してWeb業界ではSI業界のような役割分担を行わず、インフラエンジニアが一通り手がける場合が多いようです。

 

●インフラ運用

 構築したITインフラは、稼働後にも正常にITインフラが稼働し続けられるように運用を行っていく必要があります。インフラは24時間365日稼働し続けていることから、自社でインフラ運用を行っている会社ではいくつかのチームを作って24時間365日交代制のシフトを作ることが一般的です。一方、自社でこういった体制を作れない場合はMSP(Managed Service Provider)と呼ばれるITインフラの運用管理業者に一連の業務をアウトソースすることも可能です。

 インフラ運用としては主に障害対応、キャパシティ管理、および、インフラ起因でない原因の切り分けに区分できます。

 

障害対応

 障害対応には、ハードウェアの故障の対応や急激なアクセス増への対策といったものから、不適切な権限設定によるアクセスできない状況の解消などといったものがあります。

 

キャパシティ管理

 一度、構築したインフラは時間が経つにつれてアクセス数やデータ量などが増減するので、適時、インフラとしてのキャパシティを見直します。具体的には、インフラ全体のキャパシティが不足であればインフラの増強を、逆にオーバースペックであればインフラの縮小を行うことでインフラ規模を適正化します。

 

インフラ起因でない原因の切り分け

 システムに障害が発生した場合、コールセンターや他部署などからインフラエンジニアに対して障害原因の問い合わせが来ることがあります。その場合、インフラ起因の原因もあれば、プログラムのバグやアプリケーション設定の間違いなどのインフラ起因でない場合もあります。障害原因がインフラ起因であるかどうかを切り分け、インフラ起因であれば自ら対応し、インフラ起因でなければ対応可能な部署に対応を要請します。

著者プロフィール

佐野 裕(著者)
1973年生まれ。神奈川県出身。慶応義塾大学大学院政策・メディア研究科修了後、富士通株式会社でSE職を経て、2000年より現在所属しているLINE株式会社に創業メンバーとして勤務中。趣味はベルギービールや日本酒を飲むことと、韓国語。システム管理者Blogを運用中です。
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