相続放棄と限定承認 ~もし、借金などのマイナスの財産があったら…~
2022.12.02
被相続人の借金や債務など、マイナスの財産がプラスの財産より多かった場合はどうしたらよいのでしょう。マイナスの財産を相続したくない場合、相続人には2つの選択肢があります。
相続手続きの流れ
相続開始
被相続人が亡くなった日が相続開始日になります。
単純承認
遺言または相続人全員の遺産分割協議により手続きします。また、相続人が何も手続きしなかったときは単純承認とみなされます。
相続開始
被相続人が亡くなった日が相続開始日になります。家庭裁判所で申述手続き。
相続放棄
相続人それぞれが個々に手続きをします。家庭裁判所で申述手続き。
相続放棄と限定承認のメリットとデメリット
相続放棄
メリット
・借金の返済などをする義務はないので、相続人自身の固有財産は守られる
・相続手続きを一切行なわなくてよい
デメリット
・相続放棄後に新たな財産が出てきても一切相続できない
限定承認
メリット
・相続財産の範囲内のみで債務の返済義務を負うので、債務超過の場合には相続人自身の固有財産は守られる
・プラスの資産が残ればそれを受け取ることができる
デメリット
・手続が煩雑で、手続き期間が長くかかる
相続放棄申述書の書き方
相続放棄申述書は、裁判所のホームページなどで書式をダウンロードできます。限定承認の申述に必要な書式(家事審判申立書)も同様です。
手続き先と期限 家庭裁判所で3ヵ月以内に
手続きする人 相続放棄をする相続人
必要なもの 被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本、相続放棄する相続人(手続きする人)の戸籍謄本など
相続放棄を3ヵ月の期限内に決められないときは
財産調査が完了しなかったなどで3ヵ月以内に相続か放棄か決められなかった場合は、家庭裁判所に「相続の承認又は放棄の期間の伸長」という申し立てを行なうことで期間を延長してもらうことができます。延長が認められるのは原則として3ヵ月間で、延長の手続きは繰り返し申し立てることができます。さらに延長が必要な場合は再度、延長を申し立てます。
※図解身内が亡くなったときの届出と手続きのすべて2022年版(2022年1月30日 発売)掲載記事を転載