銀行や証券会社での手続き ~預金や有価証券を相続する その2~
2023.01.11
証券口座の名義変更手続き
被相続人名義の証券口座の名義変更は、各証券会社や金融機関で預貯金の解約払戻とほぼ同様の手続きを行ないます。以下は分割方法によって変る必要な提出書類の一般的な例です。
分割方法が遺産分割協議書の場合
必要書類・遺産分割協議書
・被相続人の出生から死亡までの戸籍(除籍)謄本または法定相続情報一覧図のコピー
・法定相続人全員の戸籍謄本
・法定相続人全員の印鑑証明書
分割方法が遺言書に基づく場合
必要書類・遺言書のコピー
・検認済証明書のコピー(遺言公正証書以外の場合)
・被相続人の死亡が確認できる戸籍(除籍)謄本または死亡証明書
・資産を引き継ぐ相続人または受遺者の印鑑証明書、遺言執行者が就任している場合は遺言執行者の印鑑証明書
分割方法が調停・審判に基づく場合
必要書類・家庭裁判所の調停調書謄本または審判書謄本の原本またはコピー、および確定証明書のコピー
新たに証券口座を開設するには
証券会社や金融機関で開設する証券口座には、特定口座と一般口座の2種類があります。口座開設時にはどちらかの口座を選択しますが、どちらにもメリット・デメリットがあります。口座開設の際は証券会社や金融機関でよく確認しましょう。
(1)口座開設のための資料を入手する
店頭窓口や電話での請求のほか、ホームページよりダウンロード可能な金融機関も多いので確認を(2)申込書に記入する
証券総合口座開設申込書ほか特定口座、NISA口座など、開設する口座に必要な申し込み書類に記入(3)必要書類をそろえる
本人確認書類やマイナンバーなど、申込書に添付する必要な書類を準備(4)申込書などを提出する
必要な提出書類がそろったら口座開設の金融機関の店頭窓口へ持参するか郵送(5)口座が開設される
提出書類の内容確認・審査が終了すれば口座開設は完了し、案内資料などが届く相続した証券会社に口座があると手続きはスムーズに
株式や投資信託、国債などの有価証券を相続した場合も預貯金同様、相続手続きが必要です。解約や売却する場合でも、被相続人から相続人に名義変更をしてから行ないます。被相続人が口座を開いていた証券会社や金融機関に相続人も口座を持っていなければ、新たに証券口座を開設する必要があります。そのうえで、被相続人が保有していた遺産が相続人の口座へ移管されます。
現在、株式の多くが電子化され、紙の株券はほとんどありません。しかし、被相続人が過去に購入した株券が家のタンスなどで見つかることもあるでしょう。こうしたタンス株が見つかった場合は、株の所有権が残っているかどうかを株式発行会社に確認します。上場企業であれば年2回ほど報告書が届いているはずなので、被相続人宛ての郵便物も確認してみましょう。なお、名義の変更は「証券保管振替機構」で行なうことができます。
POINT 有価証券をどこで管理しているかで手続き方法が変わります
株券や有価証券は証券会社が管理している場合と、自宅で個人管理している場合、保有する自社株を勤務先が管理している場合などがあります。証券会社の場合は、そこに連絡して手続きをしますが、自宅のタンス株の場合は証券代行会社を確認して手続きをするか、証券保管振替機構で行なうこともできます。自社株の場合は、被相続人の勤務先会社に連絡して手続き方法や必要書類を確認します。相続手続き依頼書の書き方(野村證券の例)
証券会社各社のホームページには、相続の手続き方法などの案内が掲載されています。申込書をダウンロードできるところもありますので、被相続人が取引していた証券会社のホームページをチェックしてみるのも手続きをスムーズにするコツです。
手続き先と期限
被相続人の証券口座のある証券会社、金融機関で、相続税の申告期限の10ヵ月以内に手続きする人
相続人、遺言執行者または委任を受けた人(委任状が必要)必要なもの
被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本、相続人の戸籍謄本、遺産分割協議書、印鑑証明書など※図解身内が亡くなったときの届出と手続きのすべて2022年版(2022年1月30日 発売)掲載記事を転載