不動産に投資する ~いろいろな運用法でお金を増やす(3)~
不動産投資にはどんなメリットがある?
実物不動産投資には、いくつかのハードルがあります。具体的には、「まとまった資金が必要」「物件選びの専門知識が求められる」「購入後のメンテナンスに手間やコストがかかる」「借り手や買い手探しに苦労する」といったことなどがあげられるでしょう。
では、これらのハードルを乗り越えた場合、どんなメリットがあるのでしょうか。
まずは賃貸に出すことにより、中長期的に安定した収入(インカムゲイン)が得られます。これは、老後の生活が安定しやすくなるという点で、大きなメリットとなります。
人は、年を取れば取るほど、年齢や体力の問題などで働けなくなり、家計の収支が悪化する可能性があります。そのような時に賃貸収入があると、家計に余裕ができます。
その点で、不動産投資(物件の購入)は、iDeCoと同じような年金づくりになるといえます。
また、家族がいる場合は、物件が生命保険の代わりにもなります。一定の収入があることで遺された家族の生活が安定しやすくなり、物件を売ってまとまった資金を作ることもできます。
インフレ時にメリットが大きくなる
2つ目のメリットはインフレ対策になることです。長期の景気動向を読むことはできませんが、過去20年がデフレだったことを踏まえれば、これから20年くらいインフレに動く可能性も十分考えられるでしょう。インフレが進めば物件価格も上昇しやすくなります。結果、賃貸収入が増えたり、売却益が得られる可能性も大きくなります。
3つ目は、すぐにリターンが得られることです。株などの投資でまとまった資金を作るためにはそれなりの時間がかかります。
安全性を重視するほど時間がかかりますし、大きなリターンを狙えば大きく減らしてしまう可能性も増します。その点、不動産は、ローンを組んで購入するケースがほとんどですので、数百万円から数千万円の資産がすぐに手に入ります。
物件の良し悪しにもよりますが、長期間の空き家にならなければ収支がマイナスになるリスクも小さいため、ローリスクで着実に資産を作ることができるでしょう。ローンを組むことによって資金・収支計画も明確になり、中長期の資産形成計画も立てやすくなるはずです。
このような特性を持つことから、不動産は老後を見据えた中長期投資に向いた方法といえます。株や投資信託などの投資である程度の資金ができたら、不動産投資にも目を向けてみるとよいかもしれません。
株のように市場で売買できるREIT(リート)
REITは不動産に特化して投資する投資信託です。不動産投資に興味を持つ大勢の人から資金を集め、専門家が選ぶ物件に分散して投資します。
具体的にいうと、不動産投資法人と呼ばれる会社が資金を集め、住宅、マンション、商業施設、倉庫などに投資します。投資家は、投資先となる物件の種類や、利回り・利益率などを比べて、購入するREITを選びます。
REITは投資信託ですので、運用は投資のプロにおまかせできます。
実物不動産ではなく、不動産投資の有価証券を売買しますので、空き家になるリスクや物件のメンテナンスなどの手間、転売時の買い手探しの苦労など、実物不動産を持つデメリットを解消できます。
投資家としては株や債券で運用する投資信託を買うのと同じように不動産投資ができるのです。株や債券と同様、REITの利益を分配金として定期的に受け取ることもできますので、中長期保有でインカムゲインを得たい人にも向いているといえるでしょう。