武宮正樹九段 ~大きな陣地を作る!~
武宮正樹先生。小さな頃からとにかく憧れた先生です。どうやったらあんなに大きな陣地を作れるんだろう? 「三連星」や「宇宙流」を真似して碁が好きになっていった人はたくさんいることでしょう。修行時代に繰り返し並べ、印象深いものを改めて振り返ってみたいと思います。
1図
まずは1図の景色をご覧いただきましょう。
下辺から中央、上辺に向かって、天の川のような巨大な黒地がほぼ完成しています。白地ももちろん多いのですが、結果は黒の大差勝ち。当然、黒が武宮先生です。どうしてこうなったのか、実際に見ていきましょう。
2図
2図、現在白1とカカってきたところですが、まだこの時点では、1図の景色とはほど遠いですね。むしろ、左辺のほうが大きくなりそうに見えています。ここからどのように黒が広がっていくか、注目してみてください。
実戦1
実戦は黒1とハサんで隅を白にあげる作戦です。黒1のハサミで3に守る手も考えられるでしょうが、武宮先生は下辺の発展のほうが大きいと見ています。しかしまだ、1図の景色は見えてきません。次の黒の構想は?
実戦2
打ち込む可能性はないので、実戦2の黒1と利かしました。それから下辺、黒3、5.どうでしょう? 少しばかり、1図の景色に近づいてきた感じもします。白はさらに6と打ち込んで、どんどん稼ぎにいきます。黒は7からあっさりワタらせて、中央に厚みを加えていきます。
実戦3
ここで!! 実戦3の黒1を見たとき、猛烈に感動したことを思い出します。ここに黒石を置いた瞬間に1図の景色がグッと現実に見えてきましたよね? 武宮先生のイメージの中には、いつからこの絵が描かれていたのか、すごく興味があります。聞いてみたいなぁ。
実戦4
実戦4の黒1と打って急に大模様が姿を現した時、白は2を利かしてから4に踏み込んできました。黒は右辺の1子にはこだわりません。 黒5とツケ、あくまでも中央に専念。白は右辺の黒1子を先手で取り込み、30目の確定地を作りましたが、中央の大きさには敵いません。