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新刊案内『棋風別!あなたに合った囲碁上達法』 第3回「坂田栄男九段~実利派~」

『棋風別!あなたに合った囲碁上達法』が6月12日に発売されます。
本書は、さまざまなトップ棋士の魅力的で特徴的な打ち筋を紹介することで上達に役立てようというものです。
たとえば武宮正樹九段なら「大きな陣地を作る」、羽根直樹九段なら「大局観を学ぶ」などと、棋士ごとにテーマを絞って、著者の下島陽平八段がトップ棋士たちの魅力を存分に語っています。

碁空では、5回にわたり本書の内容の一部をご紹介します。

坂田栄男九段 ~実利、スピード~

歴史に名が残る大棋士、坂田栄男九段。
タイトル獲得数は64個に及び、他を寄せ付けない絶対王者だった坂田先生の大きな特徴といえば「実利」「スピード」ではないでしょうか。
どのようにスタートダッシュをかけ、早い段階でリードを奪っていったのか、ご覧いただきましょう。


テーマ図

坂田先生といえば三々。
坂田先生には様々な代名詞があります。
白番は、坂田先生のライバルである藤沢秀行先生。
厚み派の最右翼と言える先生です。
ここまでは、まだ両先生の特徴が現れている展開ではありません。
次の坂田先生の一手から大きく特徴が現れます。


1図

1図の黒1とツメてみるのはどうでしょう?白2と出られると黒3は省けそうにありません。白4の大場に回られると、コミの負担が重く感じそう…。もう一つは白2が来たことで、aの狙いが厳しくなるかも。
ということで、黒1はイマイチでしょうか。


2図

では、2図の黒1とツメるのはどうでしょうか? 左下の白はとても強く、狙いもないので価値が低い場所でしょう。
白2から8くらいでも、中央の価値のほうが大きそうです。


実際の進行

坂田先生が選んだのは、黒1の打ち込みでした。白4まではほぼ必然ですが、ここで黒5を一本打ってから7に戻ったのが緩まない打ち方です。白8の守りを催促し、黒9へ回って実利を得ながらスピードで優位に立っています。


3図

黒5を打たずに、3図の1と単に戻ると、白2とブツカられて黒の形が窮屈になり、白地も実戦より大きくなります。さらに、白aの嫌味も残ってしまいます。