今村俊也九段 ~厚みの活用法~
「世界一厚い碁」。今村先生といえば、この言葉が代名詞。いったいどれだけ厚いのでしょう。世界一厚いというと、ものすごく厚そうです。石の上に石を重ねるが如く? 丸ごとのハムのような?
とにかく、すごく厚いということを表現しています。
1図
例えば1図の局面。上辺方面にパラパラと配置してある白石。このまま放っておくと黒aなどと弱みにつけ込んで来られそうですが、世界一厚い碁にかかると、2図白1から5と、たちまち白が厚くなり、逆に上辺の黒3子が弱く見えてきます。こうなって来ると「世界一厚い碁」というより「宇宙一厚い碁」と呼ぶべきかもしれません。
2図
3図
さらに次の3図の場面。現在、△に打ったところですが、次の黒の一手を皆さんにも考えてほしい。僕はこの碁をリアルタイムで見学してましたが、「左下の白に仕掛けたりするんだろうか?」とか、「上辺に仕掛ける手はないだろうか?」とか、「やっていく手」を考えていました。
実際に今村九段が打ったのは4図。厚い! 実に厚い!!
もはや「厚い」というより「暑い」。
4図
さて、このように厚く打つというのは反面、「遅くなる」恐れがあるので勇気が必要だという意味もあります。厚く打っておいてそれを生かして「回収」することが大切であり、それが今村先生の真骨頂とも言えるのです。
問題図 白番
現在、黒が1と打ったところです。今村九段はここでどのように厚みを作り、回収をしていったのでしょう?
まずは、白番で次の一手は?
※解答と解説は、本書内に掲載しています。