ビジネス成功のカギはブランディングが握る。ブランドをつくる、育てる
「それからデザイン」の思考と戦略
長期的な視点で信頼関係を築く。
「それからデザイン」の戦略
ブランドとは企業を支援するもの
大小にかかわらず、今やWebサイトを持っている企業がほとんどだ。だが、それを活用できずに“宝の持ち腐れ”になっている企業も少なくないなか、「それからデザイン」のような提案は、これからのWeb制作会社のビジネスモデルとして非常に有効なものといえそうだ。
では、収益の観点から見るとどうなのだろうか? 前ページで紹介したような緻密なワークフローには時間も手間もかかるが、長期的に見れば、マイナスではないと佐野さんは言う。
「単純にひとつひとつの仕事で黒字、赤字を考えると、新規事業や中小企業のブランディングは“おいしい仕事”とはいえないかもしれません。でも、小規模なほうが信頼関係を作りやすいですし、次のビジネスに繋がりやすいというメリットがあります。ですから長いスパンで考えれば、経営的にも十分プラスとなり、お互いにwin-winの関係を築けています」 一方で、クライアントが中小企業ならではの悩みを抱えていることも多くある。
「中小企業では経営層が担当窓口になることも多く、『ブランド=たんなる表面上のデザイン』というイメージを持っている方や、そもそもブランディングの重要性に気付いていない企業も少なくありません。でも、実際にWebを作り、成果がでるとその重要性を理解していただけます。ブランドというのは、もともとその企業が持っている価値や資産をわかりやすく伝えるものだと思っています」
そして、こうしたブランディング戦略に、必ずと言っていいほどつきまとうのが、「予算」と「作業量」のバランスの問題。その点を「それからデザイン」ではWebの特性を生かすことでクリアしている。
「Webは小さく作って大きく育てるという手法がとりやすいメディア。弊社ではまず予算内でいいものをつくり、結果を出していくことを重視しています。クライアントも、本当に予算がないというより、予算をかける価値があるかどうかの判断ができないケースが多いので、成果をだせば、おのずと予算も増えていくものです」
さらに、意外にも思えるかもしれないが、小さなプロジェクトや企業ほど、成果を出しやすいというメリットもある。
「新規事業や中小企業が、Webサイトに予算をかけられないことは、確かに多い。でも、その状況は競合他社も同じだったりもする。だから、限られた予算であっても戦略的にブランディングを行うとすぐに差がつき、成果を伴いやすいんです。もちろん、それだけ結果はシビアに求められますが‥‥」
ブランディングを手がけた結果、Webからの問い合わせや受注が大幅に伸び、社屋が都心の一等地に移転した例もあるという「それからデザイン」の戦略とノウハウ。企業を、ビジネスを育てるブランドの意味を佐野さんはこう説明する。
「まだ知られていない人に届けたり、誤解されているものを正しく伝えたりする。その橋渡しとなるのが、ブランドやデザインの力。ブランドには企業のビジネスを支援する力があり、企業を根底から変える力があります。そのことを『それからデザイン』は伝えていきたいんです」
Webサイトの変遷から読み取る「それからデザイン」のブランディング
長期的な目線に立ってブランディングされた好例が大船住研。新旧どちらも「それからデザイン」が手がけたサイトだが、クライアント企業の発展にともなってブランド戦略を変更。結果的にWebサイトも大きく変化していることがわかる。
大船住研
Concept 【Before】(2011年12月〜2014年3月)
「リフォーム中心の地場の親しみやすい工務店」
Concept 【After】(2014年4月〜現在)
「新築注文住宅の提案も得意な優良ハウスビルダー」
「それからデザイン」の手がけた仕事
JT たばこ研究/開発職 採用サイト
JTのたばこ研究/開発職の採用サイト。オーソドックスなデザインながら、清潔感とグローバル感を全面に押し出すことで、ターゲットである就活生にJTの企業イメージが伝わりやすくなっている。また、スクロールだけで主要コンテンツの概要が見られるようにするなど、スマートフォンやタブレットへの対応も強く意識している。
GTEC CBT
ベネッセが2014年春より新たに発売を開始した高校生向けの英語検定「GTEC CBT」の紹介サイト。新商品ではあるが、昔からそこに存在していたかのような重みのあるデザインで、「信頼性の高い検定」であることをアピール。高校生が閲覧することも考え、ページナビゲーションを付けるなど、わかりやすさも重視。レスポンシブWebデザインを採用。