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イメージを共有するための創意工夫とは?「それからデザイン」に見る、
理解が深まる、想いが伝わるプレゼン術

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中小企業を中心に、「ブランド戦略型」と名付ける独自のスタイルでWeb制作を行う「それからデザイン」。
同社にとって、プレゼンテーションは“提案の場”というより、“コミュニケーションの場”といった方がしっくりとくる。
クライアントとイメージを共有するため、そしてスムーズなコミュニケーションを構築するために欠かせないという同社のプレゼンテーション資料について、代表である佐野彰彦氏の言葉とともに紹介したい。

相互理解を深める「コンセプトワードシート」

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「それからデザイン」ならではのプレゼン資料が、企業のキャッチコピーとコンセプトを言葉にして、1枚にまとめた「コンセプトワードシート」。

企画の意図をわかりやすく説明するだけでなく、「それからデザイン」がクライアントをどのように理解しているかを示すツールにもなる。

「クライアントと私たちが抱いているイメージを言葉で確認できますし、コンセプトが共有できれば、おのずとデザインの方向性も決まってきます。結果的にデザインイメージの擦り合わせにも繋がるので、作業効率も良くなります」と、代表の佐野彰彦さん。

この文章が企業メッセージとして採用され、そのままWebに掲載されることも多い。

デザインの軸を共有する「デザインシート」

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打ち合わせ後、すぐにデザインを提案するWeb制作会社も少なくないなか、「それからデザイン」では数回のヒアリングと、企画・戦略やコンセプトワードシートのプレゼンを経て、ようやくデザインが提案される。また、デザインプランを記載した「デザインシート」では、冒頭にWebサイトの目的や方向性を示すマトリックスが挿入されている。これにより、「クライアントとデザインで大切にすべき軸を共有できます」(佐野さん)。好き・嫌いなどの感覚による議論ではなく、目的を達成するためにデザインがどうあるべきかをクライアントと一緒に考えるためのツールとなっている。

ブランディングの重要性を伝える「ロゴ」

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「それからデザイン」ではプレゼン時に、ロゴを一緒に提案することも少なくない。

「企業をブランド化していくことの重要性については、言葉だけで伝えきれないことがある。そんな時にその会社や商品のロゴを試作し、提案すると“なるほど、そういうことか”と腑に落ちる経営者も多いんです。依頼事項に含まれていなくても、この会社にはロゴが必要だと感じた際は、積極的に提案しています」(佐野さん)。ロゴの提案は、「それからデザイン」を単なるWebサイト制作会社ではなく、ブランディングをトータルで相談できる制作会社として認知させることにも一役買っている。

「制作体制図」で発注側にも責任意識を

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Web制作のプロジェクトではクライアントと制作会社が、受発注の関係を超えて、真の協力体制を築き上げるのが理想だろう。その理想を実現するため、「それからデザイン」では、プロジェクトにかかわる全員の役割を明記した制作体制図をクライアントに提示している。

「多くの人がかかわっていることを伝え、クライアントもプロジェクトの一員であるという意識を持っていただいています。そうすると、例えば、“素材のご提供が遅れるとローンチも遅れる”、“コーディングに入るとデザインに戻ることは難しい”といったワークフローの特性もご理解いただきやすく、協力体制が組みやすくなります」(佐野さん)。

「それからデザイン」のプレゼンテーションフロー

  1. ヒアリング

    企画、デザイン提案に先だってクライアントの仕事や業界全体の話を数回にわたってヒアリング。クライアントの持つ“強み”をいかに探れるかがポイントになるそうだ。

  2. 企画・戦略プレゼンテーション

    全体の企画案、コンセプトワードシート、サイト構成図、見積もりなどをクライアントに提案。同じ業界の調査などを経て、クライアント自身がまだ気づいていないような価値を見つける。

  3. デザインプレゼンテーション

    AとBを経て、ようやくデザインのプレゼンテーション。ここまでの工程を綿密に行えば、「デザインの方向性は自然と決まってくる」というのが佐野さんの持論だ。

  4. 取材・撮影などデザイン制作

    デザインの方向が固まったら、取材・撮影を経て、Webサイトの構築にはいる。なお、取材の様子については9月号で詳しくレポートしているので、参考にしてほしい。

クライアントに応じたアウトプットの最適化が大切

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「当社のドキュメント類は、創意工夫のうえで完成していますが、この“型”にはめるのではなく、クライアントにしっかりと向き合い、アウトプットを最適化していくことが大切です」

佐野彰彦(さの・あきひこ)
それからデザイン代表取締役・アートディレクター。
2004年に独立し、2007年に「それからデザイン」を設立。大手企業の新規事業や中小企業のブランディングを多数手がけている。

〒156-0041 東京都世田谷区大原1丁目63−9 アーク笹塚ビル4F

Webサイトを企業成長のためのツールととらえ、包括的なブランディングを支援する「ブランド戦略型ウェブサイト」を提案するWeb制作会社。 現在、スタッフを募集中。詳しくはWebへ。

Web Designing2014年11月号より転載)

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