第1期マイナビ女子オープン 本戦1回戦第8局
千葉涼子女流三段vs早水千紗女流二段

自戦記 早水千紗


昼食休憩明けのミス

さて、そんな珍問答にまどわされたわけではないのだが、昼食休憩明けにミスが出る。第1図で▲3七角と打てばよかったようだ。
本譜は▲2八角。理由は後述する。

 


進んで第2図、千葉さんは長考。
私は△5五同銀と本譜の△4三銀を考えていたが、千葉さんから局後
「(第2図で)△1五角を中心に考えていて…」と言われて愕然。
1秒も読んでいなかった。
▲4九飛は△5五銀▲同角△3八銀の打ち込みから△2七銀不成が先手が歩切れのため厳しい。

では、なぜその手を選ばなかったのか?
「△1五角には▲2六歩の妙手があるんですよ。
△同角▲4七飛があってどうしてもダメで」(千葉)。
補足すると、以下△5五銀▲2七飛△1五角▲5五角△4九銀▲1六歩で足りないのだ。

ということで、千葉さんは異筋の角打ちを断念して第2図以下△6三銀。
ここで、第1図での私の反省点に戻る。
角を3七に打っておけば、▲2六角とすぐにのぞけたのだ。
本譜は1回▲1六歩とのぞき穴を作らなければならず、その間に△5四歩と銀を追い返されてしまった。
このあたり、私は危機感がまったくなく、▲4六銀と引いても3筋を攻めることができるので満足と考えていた。
どうも鈍感すぎたようだ。

対局室の近くには大型ポットに温かいほうじ茶が常備されているのだが、千葉さんと私はその「連盟ほうじ茶」フリーク。
女流棋士のなかにはペットボトルを何本も盤側に並べて連盟茶をまったく飲まない人もいるが、冷え性で倹約家の私たちは「熱い」のと「ただ」という点が気に入って、一局につきかなりの量を消費する。
が、悩みの種が。それは、連盟の湯呑みが(たくさん飲む私たちにとっては)小さくて、なかのお茶が冷めやすく、何度も注ぎなおさなければならないことだ。

そんなわれわれに救いの手を差し伸べてくださった(つもりはないと思う)のが、今期からスタートしたこのマイナビ女子オープン。
主催者の機転で斬新な試みがいたるところに配置されている新棋戦だが、なかでも対局者の横にさりげなく置いてある「マイナビマグカップ」はすばらしい。
スタイリッシュなマイナビのロゴが入っていて、持ちやすく、寒いこの時期は両手を暖めながら長考に沈むことができる。
局後、「このマグカップ大きくてよかったよね」「保温性にすぐれているところがすばらしいですね」とカップの感想戦までしてしまった私たち…。

     

 

千葉−早水戦の棋譜
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