第1期マイナビ女子オープン 本戦1回戦第8局
千葉涼子女流三段vs早水千紗女流二段

自戦記 早水千紗


「クリスマスも忙しいのだ」


この対局は12月25日に行われた。
「クリスマスに仕事なんて、私と千葉さんだけだろうなぁ」と思い将棋会館にいくと、
あら?けっこう女流棋士の姿が。
あとで聞くと、決まった曜日の仕事や年末の追い込みなどは仕方ないとして、
なかには「ちゃんと予定を空けておいたら、緊急の仕事を入れなければならず25日しか空いてなかった」という悲しい事情も。
女流棋士はクリスマスも忙しいのだ。

▲早水 千紗△千葉 涼子
持ち時間3時間(チェスクロック使用)
  初手からの指し手
▲7六歩 △8四歩 ▲7八金 △8五歩
▲7七角 △3四歩 ▲6八銀 △3二金
▲3八銀 △7二銀 ▲4六歩 △6四歩
▲4七銀 △6三銀 ▲5八金 △5二金
▲6九玉 △7四歩 ▲3六歩△7七角成
▲同 銀 △4二銀 ▲5六銀 △3三銀
▲4五歩 △5四銀 ▲6六歩 △4二玉
▲7九玉 △3一玉 ▲9六歩 △9四歩
▲4八飛 △7三桂  (第1図)


両者意外な戦形
振り駒で先手になった。
たまに定跡形になると、 周囲から「あれ、きょうは普通なんですね」 「定跡も指せるんですか」とか言われるのだが、べつにいつも乱戦にしようと企んでいるわけではない。
今年から本紙に乱戦をテーマにした連載まで持たせていただいたので、この言説はますます広まりそう。
ともあれ、毎週がんばって書きますので、ご愛読をお願い申し上げます。

角交換のタイミングなど難しいところはあったが、結局、角換わり腰掛け銀になった。
千葉さんは角換わりは得意だが、腰掛け銀は極めてめずらしい(右玉か棒銀が多い)。両者意外な戦形で、持ち時間も3時間と長いため、二人とも長考をくりかえしてスローペース。
第1図で昼食休憩。

 第1図以下の指し手
▲2八角 △6二飛 ▲5五銀(第2図)

千葉ワールド
お昼は外に食べにいこうと思って戸棚からコートをとっていると、
千葉さんが「きょうの早水さんて、サンタクロース?」と話しかけてきた。
「…へ?」「いや、その服装、ファンサービスかと思って」

はっと我が身をかえりみれば、白のジャケットに赤のシャツ…いえ、たまたまです。
「いや〜早水さんウェブカメラを意識してるのかな〜と思ってね、
私もなにかしなくちゃいけないなぁって悩んでたんだけど」。
…なにをするつもりだったの?
というか序盤の長考の中身はひょっとしてそれだったわけ?
などと考え出すともうとまらない。

さらに外に出て気づいたのだが、きょうの私のコートは薄茶色。
「コートを着てるとトナカイさん、脱ぐとサンタの二段構え」。
…完全に千葉ワールドにはまった私でした。

     

 

千葉−早水戦の棋譜
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