「一人でも独りではない」
「よし、1番を引け!」
そう言って引いた決勝トーナメントのクジは本当に1番だった。
相手は矢内理絵子女流名人。
これを引きが強いと言うか、弱いと言うのかはわからなかった。
ただ、初めて女流名人と公式戦で戦える。
その舞台が記念すべき第1期マイナビ女子オープン、光栄じゃないか。
▲上田 初美△矢内理絵子
持ち時間各3時間(チェスクロック使用)
初手からの指し手
▲7六歩 △3四歩 ▲6六歩 △8四歩
▲7八銀 △6二銀 ▲6八飛 △4二玉
▲4八玉 △3二玉 ▲3八玉 △5四歩
▲2八玉 △1四歩 ▲1八香 △5三銀
▲1九玉 △2四歩 ▲2八銀 △2三玉
▲3九金 △3二銀 ▲6七銀△5二金右
▲5八金 △8五歩 ▲7七角 △1二玉
(第1図)
第1図以下の指し手
▲4六歩 △2三銀 ▲4七金 △3二金
▲3六歩 △2五歩 ▲1六歩 △7四歩
▲9六歩 △9四歩 ▲9八香 △3三角
▲5六歩 △4四歩 ▲3八飛 △2四角
▲5九角 △4三金右▲7八飛 △7二飛
▲3七角 △6四歩 ▲5八銀(第2図)
作戦勝ちの予感
マイナビ女子オープンの予選は40分という早指しだったが、
決勝トーナメントになると3時間と、ぐっと長くなる。
私はこの3時間という将棋が初めてで、とても楽しみにしていた。
周りからは早指し派だと思われがちだが、実は考えるのが好き。
特に中盤は考えていていると楽しくなる。
思い描いている局面が実際盤に並ぶと、それだけで嬉しくなる。
そんな私に3時間の持ち時間、楽しみに決まっている。
▲1六歩を指した辺りで私は方針を決めた。
攻めっ気の強い私は、いつも自分から仕掛けてカウンターをくらう。
今回は相手から動いてくるのを待ってみよう。
▲5八銀と引いた第2図。この手の感触がよく、少し作戦勝ち出来たと感じた。