第3図以下の指し手
△2二同玉▲4四角△同金▲3三歩
△同 桂▲2四飛△2三歩▲4四飛
△4五桂▲同 飛△3六角▲4七飛
△1五角 (第4図)
十字飛車と王手飛車
山田は余程△5五銀と角を取ろうかと思ったが、
それは▲2一歩成△同玉▲3三歩で危ない。
△2二同玉と歩を払ったのは冷静で、
この日は踏み込みと自重の判断が実に正確だった。
千葉は玉で取られるのを軽視していた。
本譜の鮮やかな十字飛車が見えているから。
実戦も△3三同桂から▲4四飛までバタバタと進む。
先手が一本取ったのか。
いや、そうではなかった。
山田は十字飛車は読み筋とばかりノータイムで△4五桂。
そして相手をチラッと見た。
その目は明らかに自信がある。
あなたどうするの、と言っているようだ。
千葉はまた考え込む。
頭に手をやったり髪をいじったりして、いかにも困っている様子。
その間、山田は腕組みしてじっと待つ。
やがて指されたのは自ら王手飛車にかかる▲4五同飛だった。
山田はもちろんノータイムで△3六角。
千葉もサッと飛車を引いて涼しい顔。
ここはひとまず我慢して、次に▲3四桂の王手角取りを狙う。
いい辛抱に見えた。
今度は山田が考える番か。
しかし、わずか2分でビシーッと△1五角(第4図)。
この日一番の力強い駒音、そして一番の好手だった。
千葉も「ちょっとうっかりしてました」という。
第4図以下の指し手
▲3四桂△1二玉▲5九歩△4七角成
▲同 金△5八歩▲2一銀△同 玉
▲2二歩△3一玉▲5三銀△5九歩成
▲7九玉△6九と▲8八玉(第5図)