第5図以降の指し手
▲1七同香△1六歩▲同 香△同 香
▲2九桂△1七歩▲1九歩△1一香
(投了図)
疑問手で決着
△1七桂(第5図)は渾身の力強い一手だったが、
実は▲2五香と金をはずされると先手玉には寄りがなくまだ先手勝ちだった。
▲1七同香と取った手が敗着となり先手は静かに投了した。
終盤に疑問手が出てしまい、斎田にとっては非常に残念な一局となってしまった。
しかし、鈴木の気合・迫力が斎田の高い技術をも狂わせてしまったように私には見えた。
対局後、鈴木は腕につけている水晶のブレスレットを見せてくれた。
そのブレスレットを見えないところに置いて、
対局中、苦しくて自分に負けそうになるたび握り締めていたのだ。
「ファンの方から頂いたんです。今日はひどい将棋で・・・。運が良かっただけです」
と謙遜していた鈴木だが、普段からがんばっているその姿勢が結果にでたのだろう。明るく語るその姿が輝いていた。
勝者の笑顔。羨ましいな、と思った。
「何か眼に見えない力や、ファンの方の力が後押ししてくれました」
と鈴木はそう語った。
この日の夜遅く、東京では初雪が降った。とても印象に残る一日だった。
【取材メモ】 との問いに、鈴木は符号を言い間違えてしまい |