第1期マイナビ女子オープン 本戦2回戦第1局
矢内理絵子女流名人vs中村真梨花女流初段

観戦記 笠井友貴 


ネットの時代
マイナビ女子オープンの特色の一つに「全局ネット中継」がある。
本戦からは更新機能付きのウェブカメラが設置され、
ネットで観戦するファンは臨場感を楽しむことができる。

お隣の囲碁に比べてネットでの情報発信が遅れ気味だった将棋界も、賑やかになってきた気がする。
私が毎月楽しみにしているのが順位戦の棋譜中継で、
内容が豊富な上、月500円なのだからお手ごろだ。
ただし、中継する側は遅くまでとても大変そうで、この日も撤収をするマイナビ班とは別に、残って順位戦の更新を続ける方々がいらっしゃった。
観戦記者や中継者の確保もこれから増えていくのかもしれない。

中盤の難所にさしかかり、カメラがとらえる両者の表情にも変化が見られてきた。
頬を真っ赤に上気させた中村が3筋の清算後、独特の手つきで▲5三角と打ち込むと矢内は静かに△3四香(第3図)と敵陣に遠く睨みをきかせた。
虎視眈々と反撃のチャンスをうかがう手だ。

ここで一旦▲3六歩と手を戻すのも有力だった。
以下、△同銀▲3五歩△3七歩▲同桂△4七銀打で
矢内は「自信ない」とのことだった。


第3図以下の指し手
▲6四角成△3七歩▲同 桂△3六歩
▲4五桂△4四銀引   (第4図)

白熱の終盤戦
▲6四角成から相手の手にのって桂馬の2段活用。
攻防手の△4四銀引(第4図)に▲2五桂と打つ手もあった。
△3七歩成には強く▲同飛と取り、△同香成▲同銀△4九龍には後手玉が詰む。
単に△4九龍には▲同銀△3七歩成▲1七玉のときに、先ほどの▲2五桂が敵の打ちたい場所にいるという仕組みだ。

  第4図以下の指し手
▲3三桂成△同銀▲5四馬引△4九龍
▲4三馬△同 玉▲5四馬△同 玉
▲4五金△4三玉▲4四銀△同 銀
             (第5図)

     

 

矢内−中村戦の棋譜
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