こんにちは。囲碁編集部の山本です。
サッカーより野球派。でもやっぱり、ワールドカップはチェックしてしましまいます。
小林覚著
『布石の完全ガイド ~なぜ、プロはそう打つのか?~』

なんと、今日発売です!
サブタイトルにもある通り、「なぜ、プロはそのように打つのか?」という疑問に覚先生がお答えする、という内容になっています。
「かつて流行っていた布石や定石はなぜ消えたのか?」「どのような理由で改良されたのか?」「最近流行りのAI流についてプロではどのように評価されているのか?」
さて実は私、10年前くらいに院生をやっていて、当時は最先端の布石や定石に精通していたつもりだったのですが、最近またプロの碁などを見るようになってからはまさに浦島太郎状態。あんなに流行っていた形はどこにいったのかと。
そんな私が当時の遠い記憶を辿りつつ、本書の中身を紹介していきます。
”かつて大流行し今ではすっかり見なくなった形”と言われて、まず私がパッと思いついたのは三連星でした。
三連星がプロでは打たれなくなった、という事実は知っている方も多いと思います。
では、なぜ打たれなくなったのでしょうか?

代表的な五連星です。私の遠い記憶を辿ると、普通に右上にカカるか、AやBと入っていくような手も打たれていた記憶があります。
しかし、今は、白から攻略法ともいうべき打ち方があります。

三連星でもうひとつ。カカリからの三々定石です。白7はA~Cが候補にあがりますが、どこに打っても一局と言われていた記憶があります。
しかし、今は、絶対にこう打つ! という決定版があるのですね。
三連星以外にも、けっこう衝撃的なことが書いてありました。
今は、
「ワリウチ」という手が消滅していると。

例えばこの形。白1とワリ打つ一手、とまで言われていた時代もありました。
たしかにAのカカリも打たれるようになっていた記憶がありますが、ワリウチは普通に打たれていたと思います。
いや、白にとって嫌な手が黒からあるからワリウチが打たれなくなったわけですが、それにしても、、、どうかしてるぜっ!(このギャグも古い)
また、やはりAIの影響もかなり大きいのですね。
10年前は村正定石が大流行していました。それが、一方が不利だったと言われても納得できない気持ちが大きいですね(笑)

白1から白13までが代表的な手順でしょうか。この手順も変遷があったみたいですが。
10年前に流行っていたのは、白13でAにサガる変化です。

黒2と切っても白15まで取られています。黒はAのシチョウを狙って16とツケる、みたいな変化を頑張って研究していました。しかし、、、

アルファ碁が白1を打ってから、今ではこれが常識。そして、これで白が打てるという評価になっているのだから驚きです。
見た目に△がひどい格好です。しかし、この2子に活用の余地があることを、アルファ碁が見事に実証したので、みんなこう打つようになったのですね。
ということで、今は
小目にカカってきた石を二間にハサまないのが常識になっています。
布石の常識がどんどん変わるというのは現代碁の特徴ですが、特に最近はAIの影響でそれが顕著に現れています。
そんな時代だからこそ、新しいものをただ取り入れるのではなく、
「なぜ生まれたのか?」という視点でみることは大きな上達のチャンスなのではないでしょうか?
地に足をつけて序盤力を向上させたい方や現代布石を身につけたい方にはかなりオススメです! また、私のようにしばらく囲碁から離れていて、最近再開したという方には読み物としても楽しく読めるのではないかと思います。
それでは、よろしくお願いいたします。
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