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おすすめの囲碁AIの勉強方法 ~新刊『囲碁AIが教える 中盤の良い手と悪い手』を題材に~

囲碁AIの活用法について、アマの目線から書いてみました。
2月12日発売『囲碁AIが教える 中盤の良い手と悪い手』の紹介もしています。

こんにちは。箸の持ち方がなってないとよく注意される囲碁編集部の山本です。
ダルビッシュさん、ありがとう。勇気が出ました。

今回は、結局は新刊案内に落ち着くのですが、囲碁AIについてを書いていきたいと思います。
囲碁書籍編集者・アマ六段くらい(元院生、天頂の囲碁7の八段に勝率3~4割くらい)、自分の碁の検討にAIを使用、という目線です。

今の時代、勉強の手段として、囲碁AIを活用することはかなり有用だと思います。
しかし、使いこなすのは苦労が多いのも事実。そこで、私のおすすめの囲碁AIの勉強方法ですが、それはずばり・・・
 

プロが書いた囲碁AI本を読む


書籍編集者ですから...本を売りたい...という欲はもちろんあるのですが、それを抜きにしても是非おすすめしたいです。

理由は主に2つ。
  1. 自分で変化を調べなくても、プロが研究した結果が書いてある

  2. プロの考え方や着眼点を知り、自身で研究する際に応用できる



まずは、「囲碁AIを使いこなすのは大変だよね」ということを話したいと思います。

2月の新刊、安斎伸彰著『囲碁AIが教える 中盤の良い手と悪い手』のまえがきから抜粋です。
 
 

 本書では、従来の感覚とAIの示す手が異なる局面を抽出し、そこから私なりに読み取ったAIの特徴をまとめています。問題形式になっていますので、AIならどうするのかと、予想しながら読んでみてください。
 AIが完璧なわけではありませんが、人間よりも強いことは明らかな時代です。AIが示す新たな世界に触れ、考え方の幅を広げることは、上達への近道になると思います。本書がその一助となれば幸いです。


 

私が思うに、2つめちゃくちゃ重要なことが書かれています。
  1. 私なりに読み取ったAIの特徴をまとめています
  2. AIが完璧なわけではありませんが

1→自分なりに理解することが必要。そして、その作業は・・・

まずはそう、AIは候補手と評価値しか示してくれません。
いや、それだけですごい世界になったのは間違いないのですが、自分の実にするためには、理由付けなどを行って自分の理解に落とし込む必要があります。
AI本を何冊か編集してきましたが、他の書籍に比べて原稿のスピードがゆっくりです(笑)。「先生方が題材選びや解説などを苦労しているな...」と感じます。
めちゃくちゃ囲碁が強いプロの先生でも、AIが示すものを理解に落とし込むのはかなり大変な作業である、ということです。

2→AIの評価値を鵜呑みにしてはいけない。人間的な理解も必要

AIで検討をしたことのある方は分かると思うのですが、AIが示す候補手をそのまま並べていくと、急に評価値が落ちることもあります。つまり、AIが何らかの間違いをしていたと、途中で気づいた状態ですね。
というかぶっちゃけ、評価値が悪い数字のまま変わらなくて、結局なんやねんということも私はしばしばあります・・・
また、プロの先生が「AIと人間が良いと判断する手は違う」ということをよくおっしゃります。人間には善悪の判断がつかないAIの感覚、というのも存在するのでしょう。


さて、では本書に収録されている問題を例に、本題に入りたいと思います。
この問題を考えてみてください。


黒番です。右辺の黒の勢力圏に白が入り、白1と逃げたところです。黒はどう受けますか?
私がはじめてこの問題を見た時は、「何でこれが問題になるんだ?」というのが率直な感想でした。


問題になっているので、黒1と普通に受けるのが正解にはならないと何となく予想されますが...(笑)。しかし、私にはいくら考えてもこれ以外は浮かびませんでした。
白△を攻めたいので、なるべく強くしないように、という感覚があるからです。
多くの方は、やっぱりそうなのではないでしょうか?


この場合は、白1のサガリから3のツケが良いサバキになり、黒が困ります。
白9までは白が互角以上の戦いで、黒の勢力圏で互角ですから白優勢です。


正解は、何と、黒1のハネを打ってから3でした!
正直、白にカミ取りを残す(白を強くする)手にしか見えません(笑)。
理由は次の図。


同じように、白1から仕掛けられ同じように進行した時に、黒aのツギでワタリが残っているという理屈でした。


多くの方にとって、正解手順は二の次で良いと思うのですが、

攻めたい相手の石を強くする手も、場合によっては有効になり得る

という教訓を得ることが重要です。

「攻めたい石に、眼を作る手段を自分から与える」という行為が有効になるなんて、本当にあり得ないことだったんです。こういう気づきを与えてくれるAIは神ですね。

ただ、自分でAIを動かしてこの教訓を得るには、一体何時間かかるのでしょうか・・・
というか私では、一生たどり着けない可能性大です。

しかし、本書ではなんとたったの4ページ!!!

AIと同じくらい、安斎先生も神です。



「でもやっぱり、自分でもAIで研究したい!」という方もいらっしゃると思います。

そういう方も、書籍に書いてある知識を吸収しつつ、

「こういう局面をこういう視点でAIの評価値にかけて、こういう知識を得ているのか」


という視点で、囲碁AI本を読むことをおすすめします。

私の体験ですが、自分の碁をAIにかけても、意外とどう検討したらいいかわからない、という状況に陥りました。
「ここで悪くしたかな...あ、やっぱり! 評価値も悪くなってる!」
「こう打てばよかったのか...ほーん」
と小学生並みの感想を得て終わっていたように思います。

強い人はこのように活用している、という気づきを得るのも大きな収穫になるはずです。


以上が、プロが書いたAI本を読むことをおすすめする理由でした。


さて、ここからは新刊の宣伝です!

2月12日発売 安斎伸彰『囲碁AIが教える 中盤の良い手と悪い手』



本書は、これまで解説が困難だった中盤の考え方がテーマになっています。
安斎先生がピックアップした、囲碁AIの示す中盤の考え方を問題形式で紹介しています。
今回紹介した以外に、あと50問収録しています。

ページをめくるごとに、これまでの常識が覆っていくので、新鮮な驚きとともに勉強になると思います。
気になる方は是非、お手に取ってみてください!!!

↓下記の予約ページでは、試し読みも行えます。

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