マイナビ女子オープン決勝番勝負 潜入レポート

ライター 前田朋子


●14:00 大盤解説会

さきほどお昼ご飯をいただきながら「庭を散歩してる人が多いなあ」と
外の景色をながめていたのですが、それは、

大盤解説会場に向かう一般のお客さんたちだったのでした。
100帖の大広間にぎっしり70名。
コーヒーのおかわりに 席を立つ以外は、みなさん大盤を注視し、解説に聞き入り、
時折「6四歩はどうですか!」など、次の手を提案した りと、
盤上の駒の動きに全神経を集中しています。

解説は瀬川四段。聞き手は鈴木女流初段。
ペアを組むのは初めてだそうですが、解説の合間も息のあった掛け合いが 続き、
場内は笑いが絶えません。

鈴木/マイナビ女子オープンのHPに、矢内さんの好きなタイプは
“やさしくておもしろくて叱ってくれる人”とあっ たんですけど、
それを見たとき、瀬川さんのことじゃないの?って思ったんですよ。
瀬川/ええっ。…し、叱ってほしいと言われれば叱りますけど。
鈴木/瀬川さんの好きなタイプは?
瀬川/いいじゃないですか、僕の話は。
鈴木/教えてくださいよ〜。
(観客席も聞きたげな空気)
瀬川/わかりましたよ、言いますよ(←ものすごい早口で)。
僕がおとなしめなのでシャキシャキした女性がいいですね。
鈴木/え?私ですか?
瀬川/あと、目がぱっちりした人。
鈴木/ますます私じゃないですか! 瀬川さんが色紙に書かれる“凛乎”は彼女のお名前ですか?
瀬川/違いますっ。

休憩時間前には“次の一手”クイズが出され、
正解者の中から抽選で10名に棋士のサイン色紙がプレゼントされたり、
青野照市 九段と安食総子女流初段、
遠山雄亮四段と古河彩子女流二段、
阿久津主税六段と上田初美女流初段などの飛び入り解説もあり、
本日参加された将棋ファンのみなさんはかなりお得だったのではないでしょうか。

遠山四段は中盤までの展開を「甲斐さんは陣屋のパワーにおされ、
うまく指そうとして“いっちゃえー!”という勢いが鳴りを ひそめてるかな。
大和証券杯ではのびのびと指せてましたが。
甲斐さんがどこで開き直るかが今日のポイントでしょう」と解説。

●18:50 甲斐女流二段が投了

激闘の末、矢内女流名人の勝ち。
対局を終えた両者が大盤解説会場へ。
「勝ったのよね?」と確かめたくなるほどに、
矢内さんの方が精も根も尽き果てかのような茫然とした表情です。
ファンの前へ 出ても笑顔をみせる余裕はなさそう。
将棋とはここまで知力体力をすり減らす、たいへんな勝負事なのだなあと、
熾烈なタイトル 争いを目の当たりにし、盤上の格闘技とはよく言ったものだと納得。


対局を振り返り、
甲斐二段は 「チャンスがきておもしろくなりそうに思いましたが、
最後の秒読みでなにが正しい手なのかわから なくなってしまいました」
矢内名人は「最後はわたしの玉が詰まない形だったので手の計算がしやすくなりました」とコメント。

ファンの拍手に送られ大盤解説会場を後にし、対局室に戻って感想戦。

ここでやっとふたりに少し笑顔がみられ、目に力が戻ります。
でもまだ3割は魂が抜けている感じ。二局目に向けての抱負をと
『週刊将棋』の記者さんからインタビューを受けていますが、
どうか早くふたりを休ませてあげて〜。

今回のメディアツアーに参加し、「マイナビ女子オープン」の
スケール、華やかさ、多方面に開かれた門戸、棋界の期待度は、
門外漢のわたしにも充分伝わりました。
記念すべき初代女王の座につくのは貫禄の矢内さんか、
初タイトルに挑む甲斐さんか。
二局目以降もおふたりが持ち味をいかした将棋を
のびのびと全力で指せるよう応援したい気持ちでいっぱいです。 

そして、セミナーでちょこっと教わった将棋が、意外に(!)おもしろく、
これを機に、わたくし将棋を習うことに決めましてよ!

 

 

     

 


特集ページに戻る