マイナビ女子オープン決勝番勝負 潜入レポート

ライター 前田朋子


と、そこへ矢内理絵子女流名人の登場です。


期待と緊張が徐々に押し寄せていた対局場ですが、
矢内さんが床の間を背に正座し、目を閉じて精神統一を始めると、
二間を開け放し た23帖の広い和室の空気全体が一気にピーンと張りつめます。
わたしにはそんな力はないはずなのに、
矢内さんから立ちのぼる激しく 静かな(矛盾してるけどそうとしか言いようがない)
オーラがはっきりと、 …み、見えます!


少し遅れて甲斐智美女流二段も盤前に。

駒はあらかじめ用意されるのではなく、対局者自身が並べるものなのですね。
陣屋所蔵の将棋盤は、かなり年期が入ってます。


記録係の菊池裕太三段が振り駒で先手後手を決めます。
振り駒は結構ダイナミックに投げますね。

広げた布に収まりきらない駒もあり ましたが、誰も慌てる様子がないので、
よくあることなのでしょう。先手は甲斐さんに決定。

●11:00 対局スタート

立会人の藤井猛九段の開始宣言から、
ひと呼吸おいて甲斐さんが一手目を指しました。
カメラのフラッシュがバシバシ光ります。


2手ずつ指したところで見学者と取材陣は退室。
廊下に出ると体のこわばりが解け、思わず「ふーっ」とため息。

●11:15 セミナー会場へ

メディアツアー参加者のために、
中倉彰子・宏美女流初段による「ゼロからわかる将棋セミナー」スタート。
さきほど見学した対局場の 、立会人や記録係の役割についてや、
将棋の歴史から駒の動かし方まで、わかりやすく解説していただきました。

中倉姉妹は本当におふたりとも美人さんです。
スタイルもよくて華があって将棋も強いなんて、
天は気前よく二物も三物も与えるときは 与えるもんですな。

将棋というゲームのルーツはインドにあるそう。
そこからチェスや中国将棋に枝分かれしていくのですが、
日本将棋の一番の特徴は、相手 の駒を取ったら自分の駒として使えること。
今のスタイルができあがったのは鎌倉時代だそう。
講義は主に姉の彰子さんが進めます。
ホワイトボードに描いたインドを中心とする世界地図や僧侶の絵が、
彰子さんご自身も吹き出してし まうくらい前衛的で、
会場は何度も愛情あふれる失笑に包まれます。
「中井広恵さん(日本女子プロ将棋協会代表理事)が後ろで見てるから、
授業参観みたいで緊張してるんですよ!」と彰子さん。
 


 

     

 


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