「憧れの人に勝てた！」

本戦の抽選を前にして、私は緊張していました。

自らで抽選を行うことはないので、楽しみでもあり、不安でもあり、ドキドキしながら順番を待ちました。

そして、いよいよ私の番。クジを引き振り向いて、「あっ」と声を上げそうになりました。私の位置は、清水さんの隣。

清水さんと初めて対局できる。女流棋士になってからずっと願っていました。

私が育成会に入る前から、トップであり続ける清水さん。

私たち若手にとって目標であり憧れであり、大きな壁。

楽しみと思う一方で、自分がどこまで指せるだろうか。それが正直な気持ちでした。

▲中村真梨花　△清水　市代
持ち時間各３時間（チェスクロック使用）
　 初手からの指し手
▲７六歩　△８四歩　▲６八飛　△６二銀
▲６六歩　△３四歩　▲７八銀　△４二玉
▲１六歩　△１四歩　▲３八銀　△３二玉
▲４八玉　△５二金右▲５八金左△５四歩
▲６七銀　△５三銀　▲４六歩　△２四歩
▲３九玉　△２三玉　▲４七金　△８五歩
▲７七角　△３二銀　▲２六歩　△４二銀
▲４五歩　△４四歩　▲同　歩　△同　角
▲５六銀　△４三金　▲４五銀　△５三角
▲６五歩　△４四歩　▲３六銀　△３三銀右
▲１七桂　　　　　　　　　　（第１図）

　第１図からの指し手
△３一金　▲６四歩　△同　歩　▲２五歩
△同　歩　▲６五歩　△同　歩　▲同　飛
△６四歩　▲２五飛　　　　　（第２図）

経験のない形
私の四間飛車に、清水さんの左美濃。早いペースで進みました。

△４二銀を見て、▲４五歩と指したくなりました。

手の善悪はわからないのですが、積極的な手を選びました。

この対局の目標として、前に出る将棋を指そうと思っていました。

なので、△４四角にも受けずに▲５六銀。

この辺りは難しく、よくわからず、あまり経験のない形です。

自陣は３六銀がいるため、駒組みに進展性がありません。

決断をして▲１七桂（第１図）と指しました。

この手を指せば、攻め続けるしかないので勇気が必要でした。

そして、清水さんの手番で昼食休憩。

 

いい勝負かと･･･
再開後すぐ、清水さんは△３一金。

見慣れない形ですが、▲２五歩などの攻めを事前に受けています。

しかし、こちらとしてはそれでも、攻めを続けるしかありません。

△１五歩などで１七桂を狙われる可能性もあります。

このまま収まってしまっては私の方が悪いので、▲６四歩から２筋に飛車を転換しました。

この辺りは、良い勝負かと思っていたのですが……。

 

　 　 　

 

清水−中村戦の棋譜
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